THANK YOU!!-1
夏休み、冬休みが終わり・・寒波が絶頂期にある1月。
瑞稀はいつものように、叔父の部屋でゲームをしていた。
「あー!ヤバイ!!」
「・・瑞稀、もっと静かにやれよ。」
「やってんじゃん!」
「嘘付け。今叫んだのどこの誰だよ」
うっと言葉に詰まった瑞稀は、何も言い返せずにテレビへと向き直った。
頬を、膨らませて。
その様子を見た叔父は笑いながら膨れた頬を指でつついて空気を出させる。
「てか、お前コレ2週目だろ?何で手こずってんだよ」
「んー。2週目だから難易度MAXにしたんだ。そしたら凄い強くなって・・」
「・・・成程な・・。」
呆れ顔になった叔父は自分の手にある携帯ゲーム機に視線を落とした。
瑞稀も、ゲームに集中しようとした。しかし・・・
「瑞稀、ちょっと良い?」
祖母が、叔父の部屋を開けた。そして瑞稀を呼んだ。
面倒だから断ろと思ったが、叔父が勝手に部屋を開けられて不機嫌になってしまった為に渋々、テレビを消して立ち上がった。
そのまま祖母について行き、ダイニングへ移動した。
「なに?急に」
「瑞稀。頼みがあるんだけど・・」
「頼み?って何?」
先に椅子に座った祖母の言葉に首を傾げた瑞稀は、その向かいの席に座って聞いた。
祖母は一冊の薄いパンフレットを出した。
「アナタ・・、中学受験する気ない?」
「・・・は?」
机の上に置かれたパンフレットに視線を落とした瞬間に聞こえた言葉。
意味が分からなくて、思わず聞き返した。
「・・だから、中学受験。しないかって聞いてるの。」
「いや、何でいきなり。する気ないよ」
意図は相変わらず掴めぬままだったが、はっきりと意見を言う。
確かに、小学校6年生ともなると受験の話が出てくるようになる。
特に2学期に入った辺りから、塾に行き出す人もいる。
その人たちを見ながら、瑞稀は小学校の附属である中学に入試ナシで行くつもりだったので対して興味も無かった。確か、拓斗ともそんな話をした覚えがある。
拓斗とは、夏休みで仲直りしてから時々会って、ゲームをしたりして遊んでいた。
ふと思いついて、聞いてみたら、拓斗も附属の中学に行くと言っていた。