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失恋の夜に〜乱れた友情〜
【幼馴染 官能小説】

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失恋の夜〜乱れた友情〜-7

「じ、冗談、でしょ?だって、いままで彼氏の話とかいっぱいしてきたけど、そんなこと一度も言わなかったじゃない」

 ただの友達だと思っていた相手にそんなことを言われても、全然ピンとこない。

「俺が勝手に好きなだけだったしさ、愛美が好きな相手と一緒にいて幸せなら、俺も嬉しいかなって……失恋したその日に、こんなこと言うのずるいよな。ごめん、やっぱり俺、帰る」

 優介が立ち上がろうとする。愛美は優介の泣きそうな目を見ると、心のどこかを持っていかれたような気持ちになった。

「ま、待ってよ。本当に、わたしのこと、好きなの? いつから?」

「ああ。もういつからとか、わかんねえけど……ダメだ、もうこれ以上ここにいたら我慢できなくなる」

「我慢って? なにを我慢しているの?」

 ちょっと意地悪だな、と自分でも思った。こんなときに男の子が何を望んでいるかくらいは、いくら鈍感な女の子だってわかっている。それでも、優介の口から聞きだしたかった。

「なにって、その、あの……抱き締めたり、キスしたり、そういうことしたくなる……っていうか……」

「じゃあ、しちゃう?キス」

 そういうことをしたくて堪らないときに、大好きな相手とできたらきっと幸せな気持ちになれるはず。優介のことを男として好きかどうかなんて、わからない。でも、愛美は深夜に駆けつけてくれた優介に、少しだけ良い気持ちになって欲しかった。それに相手が優介なら、ちっとも嫌じゃない。

「愛美……」

「いいよ、優介なら。して」

 優介の大きな手が、愛美の頬を包み込む。目を閉じると、唇に柔らかなものが触れた。強く押し付けられることもなく、それはほんの数秒で静かに離れた。優介が照れたように笑う。

「へへ、愛美とキスしちゃった……なんか、ごめんな」

 背中に筋肉質な腕がまわされる。ずっと近くにいたはずなのに、こんなふうにくっついたりするのは初めてだった。優介に抱き締められると、うっすらと汗の匂いがした。ただ触れるだけの子供のようなキスなのに、愛美はひどく興奮している自分に気がついた。女にだって、性欲はある。そこにはっきりとした恋や愛があるかどうかわからなくても、抱きあいたいと思う夜がある。

 愛美は背伸びをして、優介の耳元で悪戯っぽく囁いた。特徴のある耳の形も、子供のころから変わっていない。

「ねえ、キスだけでいいの? ほかにしたいこと、ない? それとも、彼と別れたばっかりで、こんなこと言う女って最低だと思う?」

 拒否されないとわかっているから、こんなことが言える。ずるい。それはよくわかっている。背中にまわされた腕に力がこもる。優介が小さな声で遠慮がちに言う。

「お、思うわけ無いだろ? やりたいって言ったの俺なんだし……でも、愛美、いいの?」

「いいよ。ねえ、ほかに何がやりたい?今夜は優介のやりたいこと、なんでもしてあげる」

 自分が優位に立っていると思うと、どんな大胆なことでも言える気がした。薄いTシャツ越しに、優介の鼓動が速まったのがわかった。


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