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失恋の夜に〜乱れた友情〜
【幼馴染 官能小説】

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失恋の夜〜乱れた友情〜-1

『俺、他に好きな子できたんだ。ごめんな、もう会えない』

 珍しく遅い時間にかかってきた彼からの電話で、こう告げられた。頭で理解する前に、胸がずきんと痛んだ。

言いたいことはいろいろあった。ほんの1カ月ほど前に、お互いの両親に挨拶したのは何だったの? 一緒に遊びに行った先で、可愛い指輪を買ってくれたじゃない。あれは婚約指輪の代わりだと思っていたのに。キスだってエッチだっていっぱいしたよね。好きだって言ったよね。あれ、全部嘘だったの? 遊びだったの? ねえ、答えてよ。

 頭をぐるぐる回る言葉たちを抑え込んで、震える声を落ち着かせ、愛美は無理やり電話の向こうの相手に対して笑ってみせた。それは、もう自分への愛情を失ってしまったに違いない相手への、精いっぱいの意地だった。

「あはは、そうなんだ。しかたないね、じゃあ、その子とお幸せに」

『愛美……』

 もう何も聞きたくなかった。あと一言でも、優しい言葉のひとつでも聞いてしまったら、きっと我慢できずに泣いてしまう。彼の返事を待たずに電話を切った。もしかして、かけ直してくるかな、なんて期待してしまう自分に腹が立つ。

 なんとなく、予感はあった。ふたりで一緒にいるときでも、彼がどこかぼんやりしていたり、なんとなく心が自分の方を向いていないなと感じることがあった。それでも、きっと仕事が忙しいのだろうとか、疲れているんだろうと思いこんで、深く考えないようにしてきた。その結果がこれだ。

 泣くもんか、と思っていたはずなのに、ベッドサイドに置かれた鏡に映るのは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになってしまった情けない顔。

 さすがに25歳にもなると、失恋の経験は何度かある。でも、心にぽっかりと穴のあいたようなこの感じには慣れることができない。

 キッチンでお湯を沸かし、友達にもらったリラックス効果があるというハーブティを淹れてみる。鮮やかなピンク色に染まった液体は酸味が強く、ひとくち飲んだだけであとはシンクに流してしまった。こんなもので癒されるわけがないのはわかっているのに、それでもすがらずにはいられない。落ちつかなくて部屋の中をうろうろと歩きまわる。

 洗面台の横に置いていた、この夏に彼からもらったばかりの指輪。そんなに高価なものではないけれど、毎日指にはめるたび嬉しさに胸が躍った。銀色のリングにはふたりのイニシャル。彼への腹立ちをぶつけるように、ゴミ箱に投げ込んだ。


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