セカンドストーリー-8
息が荒くなって、体が勝手に震えた。
全身を強い何かが一瞬にして駆け抜ける。
全神経を通り、私の頭を真っ白にして私の中がからっぽになった。
何が起きたのか分からない。
倒れそうな体を、急いで彼が支える。
私はそのまま彼にしがみつくようにして、彼の胸の中で息を整えた。運動したわけでもないのに心臓が早く動く。
それからはどうしてそうなったのか覚えていない。
気が付いたら私は床に寝かされていた。
ブラウスをはだけて、ブラジャーをたくしあげられていた。彼が胸のそれに刺激を与えると、私の体はすぐに熱を持ち始める。
「あっ....はっ....はぁん....」
自分でも信じられないくらいの声が出る。
今まで聞いたこともないトーンの声。
力の入らない体で私はただ茫然と天井に出来た染みを見ていた。
彼が開いている方の手でまた私のそこを触り、指を入れられる。
早く、遅く、不規則に彼の指が出し入れされる。
その度に私は腰を動かしてしまう。もう逃げる為ではなく、快楽を得るため自然と腰が揺れる。
「腰が揺れてる。気持ちいの?」
「あっ....ううん....あっ....」
お腹の中にまた何かがたまり始める。
今度はその中に鈍い痛みが混じり始める。
我慢できるくらいの痛さに、私の中が傷ついていると思った。
皮膚が破れて血が出ているかもしれない。もしかしたら排泄する時、少しだけしみるかもしれない。
だけど何で?もっと触ってほしいと思う自分がいる。
「里桜、きつい。もう少しゆるめて」
彼が何を言っているのか分からない。
緩める?どこを?
彼を見ていると、唇が塞がれた。
ねっとりと舌を絡ませて、舌の裏を舐められる。
私もまねをして彼の舌に絡めて少しだけ吸ってみる。
彼がそれにこたえるように吸い返してくれる。
舌を舐め合いながら、私達はお互いの舌を伝って喉にたまる唾液を飲んだ。
ゆっくりと目を閉じて、彼と濃厚なキスをする。
胸を揉まれ、キスをされ、私の中に入った指を出し入れしながら、私の全てを彼が弄ぶ。
「聞こえる?里桜。これが里桜の音だよ」
わざと私に聞こえるようにクチャクチャ水音を響かせる。
その音に耳の外側がゾワゾワする。
「すごい締め付け」
だけど彼の言葉は私の中にはとどまらない。
聞いた言葉は全て頭のどこかで消えてしまう。
「いやぁ....あん....それ....ダメっ」
私はそう言って再び彼の唇を吸った。
もう私の中には誰もいない。優しい婚約者も、福寿屋も全て私の中から消え去ってしまった。私の世界にいるのは彼、ただ一人。
「っふ....あっ....ぅん....」
また大きな波がそこまでやってくる。
彼の指をもっと奥へと導きたくて、自ら腰を振った。だけど、彼が私の中から指を抜いた。
揉んでいた手も唇も離して、ただじっと私を見ていた。