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魔法少女ありす
【コメディ その他小説】

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カミーラ-1

カミラが使い魔の黒猫ラスカルを胸に抱いたまま箒に乗ってとある街の上空に差し掛かると青空が一転して闇に包まれた。
雲に覆われたのではなく夜になったような闇。
「これは?」
「結界の類だな」
寝ていたはずのラスカルがいつのまにか起きてる。

「結界?!」
通学途中のありすと由美が足を止め上空を見上げる。
「結界って被害が外に及ばないように張ったりするやつ?」
「そう。でもこれは外部から邪魔が入らないようにするための結界」
闇はとある街全体を覆いつくしていた。
街に住む住人のすべてが突然の異変に怯えていた。
「由美ちゃん!」
「滝さん!」
後方にいた滝が由美とありすの傍に駆け寄ってきた。
「これは、いったい?」
「何者かが結界をはったらしいです」
「これが結界ってやつですか?すさまじいものですね」
キャリアで実戦経験のない滝には初めての体験だった。
「こんな大規模な結界は私も初めてです」
「そうとうな魔力あるいは妖力の持ち主の仕業ですね」
ありすもこれほどの結界を展開する相手を過去に知らなかった。
「アリスちゃん!由美さん!」
3人の目の前にカミラが上空から箒で舞い降りてきた。
「カミラちゃん!」
「ありすちゃん!由美さん!街全体が結界に覆われています!」
「とんでもない魔力の持ち主だね。由美さん。心当たりありますか?」
「登録されてる魔法使いでは一人しか知りません」
「誰?」
由美は、問いかけるありすを指差す。
「えっ?」
「登録されてる魔法使い・魔法少女でこんなことできるのはありすちゃんだけです。」
「…私。ちゃいまんがな…」
ありすは、顔の前で、手の平を左右にパタパタ振る。
「判ってます……。未登録の魔法使いでしょうね。」
「ところでこちらの方は?」
カミラは、由美達といた見知らぬ男の事を尋ねる。
「私の同僚の滝一哉さんです。」
「ども滝です。山里さんの監視員をやってます。よろしく……」
「これは、ご丁寧にありがとうございます。由美さんと同じクラスになりましたカミーラ・ドルベークです。私も魔法少女です。よろしくお願いします」
「そんな悠長な挨拶をしてる場合か!」
カミラの腕の中のラスカルが口を挟む。
「えっ?」
「えっえ〜っ?!」
滝と由美が同時に声を上げる。
「猫がー!猫がしゃべった!!??」
「あっ。すいません。ご紹介が遅れました。こちらは使い魔のラスカルさんです」
「カミラが世話になってる。使い魔のラスカルだ。よろしくな。」
「猫なのにラスカルって……」
「そう思うだろう。ありす嬢。言ってやってくれよ」
「そう言えばありすちゃんは使い魔いないの?」
「いるけど今日は、つれてない。」
「そんな悠長な会話してる場合じゃないだろう!」
ラスカルが、飽きれ気味に怒鳴る。
ズズズ…ズズ…ズーン。
ビリビリと振動と低音の轟音が遠くから響いてくる。
「地震か?」
滝はそう口にしつつ、遠くのほうから音がしてる事にその考えを自分で打ち消した。
「……あ、あれ」
由美が遠くを指差す。
高層ビルの谷間に茶色の直方体の物質が見える。
「巨人…?」
茶色の直方体は人の形をしていた。
「キ○ニクマンに出てきたサンシャインみたいだ…」
「なんですそれ?」
「・・・いや、なんでもない。気にしないでくれ」
「はあ?」
由美と滝の会話にありすとカミラが入って来た。
「あれは、ゴーレムです。由美ちゃん、滝さん」
「常識的なゴーレムからは、桁違いの大きさですけどね」
「…50mぐらいありそう。ストーンゴーレムだね。カミラちゃん」
「はい。でもゴーレムというより怪獣ですね」
その巨大なゴーレムはゆっくりと前進してくる。
ゴーレムは前方の障害物を腕で払いのけて破壊して進んで行く。
「ますます怪獣映画のようですね」
「怪獣映画って見たことあるのカミラちゃん?」
「はい。日本のトクサツは有名です」
「んっ?あれ?頭の上に誰かいない?」
由美がゴーレムの頭の上の人影に気がついた。
「えっ?あんな遠くの見えるの?由美ちゃん。目がいいんだね」
ドーン!ズーン!
ゴーレムは障害物を破壊しながらゆっくり確実に前進を続ける。
「…移動する大迷惑……」
ありすは巨大な人型を見つめて呟いた。
由美のいう人影を確認する事はできない。
「こっちから接近して確認するしかなさそう」
「シューティングスター!」
ありすが呼ぶと地面に赤く魔方陣が発光して現れる。
その魔法陣の中心からまっすぐに木が生えてくるように箒が現れてきた。
「お願いシューティングスター。」
地面に垂直に現れた箒は、ありすの声に反応して水平に姿勢を変更する。
ありすは、箒をまたぐのではなく、箒に対して横向きに椅子に座るような
姿勢で箒に乗る。
「行くよ!シューティングスター!」
ありすの声と同時にありすを載せた箒は一気に上空に舞い上がった。
「エリーゼ!ラスカルさん!私達も行きましょう」
カミラは、黒猫を抱きかかえたまま箒に飛び乗るとありすに続いて一気に上空へと
飛び出した。
二人の乗る箒は充分な高度に達すると水平飛行に移った。
2人が水平飛行に移るころには巨大なゴーレムの頭部に誰かが立っているのが確認できた。
「本当に誰かいた」
人影は確認できたが、それがどんな人物かまだ遠くて確認できない。
「と言ってもゴーレムを操ってるやつには間違いないでしょうけどね」
ありすとカミラは、箒を操りながら会話していた。
「未登録の強力な魔法使いか…」
既に破壊活動をしながら移動してくる友好的な相手ではないことは明白。
2人はどんどんゴーレムに接近していく。
やがて2人はゴーレムの頭部に立つ人の顔形が明確に確認できるとこまで接近した位置で箒をホバリング状態にかえた。








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