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氷の解けた日
【SF 官能小説】

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ファーザー・コユナ-1

 ガルチック・コユナ社の中では上へ下への大騒ぎだった。
リアル・ゲーム世界の龍の谷が全壊寸前になったのだ。
常時快晴にしていた天候が急に荒れ始め、落雷が落ち地面が割れた。

 調べてみると数千万ポイント級の生命点に相当する電子エネルギーが失われたのだ。
これは会社にとって大いなる損失である。
だが、いったい何がそれだけの電子エネルギーを消費したのだろうか。

 記録画像を見るとアシュラが映っていた。

 この化け物はなんだということになり、龍の谷の責任者に問い合わせると、先日独り勝ちした化け物だと言う説明があった。

 同時にこの不審な化け物の正体をファーザー・コユナが解析しているという。
そしてもう少しで解析が終わる筈だと。

 ファーザー・コユナはガルチック・コユナ社のスーパー・コンピューターの名前で、社屋の最上階に据えつけられている。

 この会社の最高頭脳であり、リアル・ゲームの世界を支えている中心部である。
そして、たった今、アシュラの解析が完了した。

『アバターのアシュラは2体の電子生物と1体のゲーマーが電子的に合体したもの。
電子生物のうちの1体は分析不能。
もう一体はマチモリと名乗る人外生物リーマックスの組成と一致。
1体のゲーマーは2年前冷凍冬眠から覚醒したハヤテという男性の者。
なお、アシュラは龍の谷の仮想空間から現実世界にテレポートしてこちらに向かっている。
目的は私……ファーザー・コユナの破壊。警戒せよ。極めて危険。警戒せよ』

 会社の中は騒然となった。
 


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