眠れない妻たちの春物語(第三話)-3
初めての客は、長い髪を頭の後ろで束ねた若い男だった。
全裸にされた私は、ホテルのベッドに大きく手足を広げ、ベッドの四隅に革枷で手足首を拘束さ
れていた。
そんな恥ずかしい姿を男に見つめられるだけで、何とも言えない痺れるような新たな疼きが私の
中に湧いてくる。
「かわいい奥さんですね…ぼくの好みですよ…」
そう言いながら、男は私が脱ぎ捨てたブラジャーとショーツを手にすると、鼻にあてた。私は、
まるで自分の肌に触れられるような恥ずかしさに、頬にかすかな火照りを感じた。
「あなたの肌のぬくもりと匂いが何とも言えませんね…それに少し湿っている…」
気だるく卑猥な彼の言葉が、私のからだの中にねっとりと絡みつくようだった。
私の下着の匂いを嗅ぎ取りながら、男の赤いブリーフのふくらみは、すでに堅く勃起したペニス
を思わせた。
しばらくすると、男は私の下着を傍のテーブルの上に置き、ベッドに乗り、私の髪を撫でながら、
添うようにからだを私に寄せる。
「腿の付け根のむっちりした肉づきが、何とも言えないな…ボクは人妻の潤んだあそこの割れ目
が大好きなんですよ…」と言いながら、彼は私の内腿に掌を這わせる。
そして、男は少しずつ顔を私の陰部近づけながら、頬でゆるやかに陰毛の毛先を撫でる。さらに
私の陰毛の柔らかさを頬で確かめながら、秘裂の奥へと視線を埋めていく。
「あなたは、自分のあそこを見たことがありますか…ほら、いい具合に肉淵が色褪せている…
ほんとうは、いつもかさかさと渇いていて、旦那様では充たされない人妻なんでしょう…」
皮肉と嘲笑の言葉を私に吐く男に、私は心の中を見透かされたような悪寒を感じていた。
「ぼくは、鞭や蝋燭で虐めるのは望みませんね…こんな恥ずかしい姿にされたあなたが、ぼくの
言葉と愛撫だけで、淫らにどんどんマゾの願望が増していく姿を見るだけで楽しいのです…」
柔らかで淫猥な彼の唇の粘着感を肌に感じたとき、私は、自分の充たされない空洞に、じわりと
滲み出すような疼きを覚えた。
私のなかに溜まった淫蕩をえぐり出してくれるような彼の愛撫だった。陰部の奥の体温まで彼に
嗅がれるような恥辱の甘美な疼きに、私はからだのすべてを男に委ねようとしていた。
どれくらいの時間だったろうか…男は、ベッドに拘束した私の性器を、ただ舌先でこねるだけだ
った。そして、男はなにをすることもなく帰っていったが、私はそれだけで十分に潤ったような
気がした。