THANK YOU!!-4
次の日。
瑞稀は教室で秋乃と話していた。
昨日のことを知った瑞稀がお礼を言うと、照れた秋乃はそっぽを向いたが、うまくいったなら良かった。と言われ、余計に頬を緩ませた。
そして、教室の扉を開けて入った来た人物の元へ駆け寄った。
「おはよ、鈴乃!」
「・・!あぁ。おはよ、八神」
声をかけられて驚いた拓斗だったが、その人物が瑞稀だと分かると顔を綻ばせた。
そして、そのまま、拓斗の席へ。
勿論、隣には、菜美の姿がある。じっと、見られている。
だが、瑞稀はもう負けなかった。
「あのね、昨日お兄ちゃんが新しいゲーム持ってきてくれてさ!
すっごい、面白いんだよ!」
「へぇ!どんな奴?」
「うーんと、***の流星って奴で。バトルゲームなんだけどテイ*ズとかとちょっと違うんだ!」
「どんな感じなんだ?」
最近話せなかった二人には短時間じゃ足りないくらい話したい事がたまっている。
異常なくらいの盛り上がりを見せる二人に、菜美は驚いた。
それに、瑞稀が久々に話しかけたことに強く驚いた。
すると、菜美の机に影が映った。
誰かと思って顔を上げると、そこには秋乃がいた。
その表情は冷たいモノだった。
「・・瑞稀、アンタの視線を乗り越えた。今の瑞稀に怖いモノなんか無い。
何も言わない瑞稀に変わってウチが言うけど。」
「・・・・なんのこと?」
あえて、惚けてみせた。
だが、秋乃は引かず、さらに意地の悪い笑顔を浮かべた。
「気づいてる?鈴乃が、優しそうな顔するの、瑞稀にだけってこと。」
「・・・!」
「それだけじゃなくて・・心からの表情を、瑞稀にだけ見せてる。」
「・・・だから?」
秋乃に言われている事は、既に気づいていた。
だからこそ、腹立たしかったり、黒い感情を持っていた。
嫉妬・・という奴だろう。
「鈴乃の、表情を出せるのは瑞稀じゃないとダメなんだ。・・もう、言いたいこと解るよね?」
有無を言わせない秋乃の迫力からは、瑞稀を思う気持ちが伝わってくる。
それを直で感じた菜美は頷いた。
それを確認した秋乃は自分の席に戻った。
菜美は、手のひらを、ギュッと強く握り締めた。
その拳は、次第にふるふると震え出す。
何故、自分の純粋な恋なはずなのに、ここまで言われなくてはならないのか。
嫉妬したりするのが、そんなにいけないことなのか。
何故、自分には心からの表情を見せてくれないのだ。
何故、後から知り合った瑞稀なんかに見せるのか。
何故、瑞稀なら、拓斗と良い感じに見えるのか。
何故、自分の気持ちを、分かってくれないのか。
何故、何故、何故、何故、何故・・・!
菜美には、もう限界だった。
今までとは違った視線を、瑞稀に送った。
今までより憎しみが籠った目で・・。