〈不治の病・其の二〉-15
(と、撮るなよぉ!!撮るなあ!!!)
キラリと光る滴が落ち、揺れる胸肉を映しながらシーツに弾けた……まだ眉は吊り上がり、瞳はキッとカメラや患者達を睨んだままだが、強気に作り上げられた麻衣の性格は、所詮は作り物だったのだろう。
麻衣の威圧的な言動は、此処に集まる畜人達には通用しない……その現実に気付き始めていた。
「!!!!」
オヤジの悪戯な指が、ブラジャーの肩紐を脱がすようにずらし、麻衣のブラジャーのカップの中に手を突っ込むと、そのまま胸肉を鷲掴みにして引きずり出した。
どうにかブラジャーが支えてはいるが、それすら不要とばかりに胸肉は形を崩さず、美味しそうなピンク色の果実を晒しながらも豊満な山並みは健在だ。
その胸肉の巨大さに相応しい大きめなピンク色の乳首と、その周囲を彩る大きめな乳輪が、プルプルと揺れながら踊っている。
と、オヤジは隠し持っていた鋏を取り出し、肩紐を切ってから背中に手を入れてホックを外し、その大きなブラジャーを剥ぎ取って床に放った。
(や…やめろ……撮るな……)
一つ…また一つと滴が落ち、既に丸見えになっている胸肉を横目に弾けて消えていった。
真昼間の惨劇。
他のナース達はこの階で仕事をしていると言うのに、いつまでも帰らない自分を捜しにくる様子もない。
ナースステーションには殆ど居ない婦長ですら、その声すら聞こえない。
ナースコールを押そうにも、両手は背中に張り付いたまま。
異常な撮影現場と化したこの病室に、他の誰かが訪れる可能性はゼロではないが、麻衣にはそれを信じられる余裕は無かった。
変質者の集団に囚われた自分……その現実しか頭の中には無かった……。
『余すトコ無く撮っててくれよ?よく見えないってクレームこないようになぁ』
『へっへっへ、分かってますよぉ』
(ち、調子ノリやがって…!!と…撮るなぁ!!!)
顔にへばり付く前髪が、オヤジの掌に掴まれると、毟り取られるように力任せに引かれ、麻衣の顔は顎を突き出すように上げられた。
激痛と屈辱に眉間には皴が寄り、睨んでいるはずの瞳からはポロポロと涙が零れる。
汗を吹き出した真っ赤な顔は、やはり演技などではなく、暴力に曝された牝の顔だ。
「ご…おぅ!?も"う"ぅ"ぅ"!!!」
オヤジの指先が、美しい膨らみを誇る胸肉を滑り、汗に輝く白い肌に淫らな軌跡を描いた。