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どうして....好きになってはいけないの?
【純愛 恋愛小説】

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二人の間の壁-4

「ちょっと姉さん!」
優羽が慌てて声をかけた。
「大丈夫だよ!」
舞姫はTシャツとジーンズのショートパンツの下に水着を着ていた。
「小学生みたい.....」
そんな優羽の言葉に
「すみませんね!!メリハリの無い小学生みたいな体で!これでも気にしているんだからね!!」
舞姫は拗ねたように言った。
「ゴメン...そういう意味じゃ.....」
優羽がそう言いかけた時
「ちょっと泳いで来る...」
舞姫はそう言って海へと歩いて行った。
(ちょっと言い過ぎたかな....)
舞姫は少し反省した....でも....去年までなら....冗談まじりに言い返して来たはずである....やはりあの日の事を気にしているのだろうか....以前のように何も気にせずに話せればいいのに....舞姫は少し淋しさを感じていた....姉さんの事忘れるために....そう言った優羽の言葉が今も耳に残っていた....

(あれっ優羽はどこにいるの?)
舞姫は荷物を置いた場所を見失っていた。優羽を探しながら歩いていると
「どこから来たの?」
声をかけられた。舞姫が無視してもナンパ野郎はしつこくつきまとった。舞姫が困っていると
「舞姫!いつまで待たせるんだよ!」
優羽がそう言って走って来るのが見えた。
「ゴメン.....」
舞姫が謝ると
「いいから早く来い!」
優羽は舞姫の手を掴んで歩きだした。
「ありがとう...」
舞姫がそう言うと
「さっきはゴメン....」
優羽は素直に謝った。
「いいよ!もう.....」
舞姫が笑顔で答えた。二人は手を繋いだままである事に気づいて慌てて離した。
「優羽の彼女に見えたのかな?」
舞姫は無理にはしゃいで見せた。優羽は戸惑ったような顔をしていた。今までなら....いい年齢してなにはしゃいでいるのさ....とか....ナンパされた事が嬉しいの?なんて....冗談まじりに返して来たはずである....やはりあの日の事を気にしているのだろう....
「いつまでこっちにいるの?」
会話を途切れさせたくない舞姫は当たり障りのない言葉を選んだ....
「バイトがあるから明日.....」
「そっかぁ...明日戻るのか....」
舞姫が淋しそうな顔をした....
「バイトって何をしているの?」
「今は和風レストランで調理の仕事をしている....」
「優羽は料理が上手だからちょうどいいかもね....で....可愛い子いた?」
優羽は一瞬恵の事を思い浮かべた。
「その顔は....いるんだ!」
優羽の顔を覗き込んだ舞姫がからかうように言うと
「いないよ!可愛い子なんて!」
優羽は慌てて否定したが
(やっぱり.....いるんだろうな.....)
舞姫は少し不安になった....
海から帰った二人は明日に備えて少し早めにベッドに横になった。網戸を通して入って来る風は少しだけ秋の気配を漂わせていた。

あの時....優羽の告白を聞いていないフリをすれば良かったのか....それとも....自分の気持ちを正直に伝えておけば良かったのか....大人のフリをした事を舞姫は後悔していた....優羽があとで後悔しないように....今もその思いは変わっていない....自分の気持ちを優羽に伝えて....自分の考えを優羽に伝えれば....優羽ならわかってくれたと思う....しかし....今更自分の思いを優羽に告白出来ない....前に進もうとしている優羽の足を引っ張りたくないから....優羽が悩んで....考えて....自分で答えを見つける....それが一番良いんだ....舞姫はそう自分に言い聞かせた....二人の部屋を隔てている壁に手を当てて....舞姫は壁の向こう側にいる優羽を思っていた....
(優羽.....明日にはいなくなってしまうのね.....)
舞姫の目から涙が零れ落ちた....



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