〜終章〜 月曜日 ラウム-2
今まで僕はアニメの女の子に夢中で、現実の女の子には、さほど興味がなかったようだ。それがどうだろう、今は他の男子同様、エッチな目で女の子達を見つめている。好みというものは変われば変わるものだ。
その美人揃いのチアリーダーの中に、一際目を惹く女の子がいる。僕はそれが誰だか知っていた。
彼女はミリア・ラスティン。高級マンション最上階に住むお嬢様で、スリーサイズは84,56,84。ローラという友達がいて、将来の夢はプロバスケチームのチアリーダーになること‥
‥ちょっと待て。なぜ僕はこんなに詳しいんだ?
そもそも今まで興味のなかったチアリーダーの名前を何故知っている?
いや、それは友達との会話中に聞いたのかもしれない。何しろあれだけ可愛い娘だ、話題に上ることくらいあるだろう。それに健全な男子なら、彼女を妄想で弄んだとしても不思議はない。
あのあどけない顔立ちの割に、グラマラスなボディ。愛らしいお口でしゃぶらせてみたいとか、プルプルのおっぱいに顔を埋めて、可愛いほくろのある乳首にしゃぶりついたり‥
ほくろ?
僕の想像力は余程逞しいのか。彼女の右の乳首の下にほくろがあるなど、エッチでもしない限り知るはずないじゃないか。
これも誰かから聞いた話か?だが、彼女に男がいるとは聞いた覚えがない。そう言えば恐竜リック・ジョンソンに告白されたとか言ってたな。まさか、もう奴の毒牙に‥
‥やはり何かおかしい。
すっかり混乱した僕は、呻くようにその場を去る。ここ数日の記憶がなんだかおかしい。いつもと変わらない退屈な時間を過ごしたはずなのに、妙な違和感が付きまとう。勉強のストレスは、僕が考える以上に深刻なのだろうか?
無意識のうちに、制服の内ポケットを弄る。
何もない。そう、何も入れてないはずだ。だが、大事なものが入っていたような気もする。
何かとても大切なことを忘れている。校舎の陰にうずくまり、頭を抱え、僕は必至でその何かを思いだそうとした。
「君、大丈夫?」
何だ?
前にもこんなことがあったぞ!?
顔を起こした僕は、思わず息をのんだ。心配そうな表情のプリティホワイトがそこにいた。と思うや、瞬く間にその白昼夢は消え、見覚えある美貌が僕を覗き込んでいた。
「‥あっ、‥か、会長!?」
それは憧れの聖女様。聖母のような慈愛と、騎士のごとき凛凛しさを称えた、我が校自慢の生徒会長、シルヴィア・ウィンストン女史である。いったいどうしてアニメキャラなど頭に浮かんだのだろう。
「あら、また君なのね、クルーガー君」
「えっ!?」