〜第2章〜 木曜日 ミリア-5
5分後、高度なセキュリティに守られた白亜の城へ、お姫様の協力で難なく侵入した僕は、そのあまりの豪奢さに目を剥いていた。
ミリアの部屋は、よりにもよって最上階。あきれるほど広いリビングと、高級ホテルの写真でしか見たことのない豪華な家具類。壁際の巨大なテレビは、何インチあるかすらわからない。
そして、限られた金持ちにしか味わえない贅沢とはこれのことだろう。バルコニーからは、宝石箱のような夜景が一望できる。
「‥お前、これでお嬢様じゃないって言ったのか?」
「‥はい」
喫茶店での明るい様子とは一変して、どこか虚ろな返事が返ってくる。
沸々と煮えたぎるような満足感が胸を満たす。そう、僕は今、彼女の心を支配してるのだ。
それにしても、彼女を落とすまでに色々予想外のことは起きたが、何より驚かせてくれたのはこの部屋だろう。
豪奢な部屋の雰囲気にのまれて、急に偉くなったような気がしてきた。そう、この部屋は僕のものではないが、この部屋の主は僕のものなのだ。すっかり気が大きくなった僕は、日頃にはない横柄さを覚える。
彼女はこの高い塔で育ったお姫さま。だが、今は僕の奴隷。高貴にして従順な奴隷。いかな命令にも逆らわない。
「こっちへくるんだ」
夜景を背に、僕は美しいしもべを呼び寄せる。
期待にたがわず、彼女は僕の前で立ち止まり、虚ろな視線を宙に彷徨わせる。
リビングに入室すると自動で灯るナイトライトが、薄暗い部屋の中で、彼女の姿を浮かび上がらせる。そっと肩からブレザーを滑り落とすと、ルーデンス学園チアリーダーのユニフォームが現れる。
赤と白を基調とした袖なしのユニフォームを84のバストが突き上げ、胸元のRUDANCEの文字を歪ませている。
プリーツの入った白のミニスカートには赤いラインが入っており、そこからこぼれる太ももは、健康的な魅力に溢れている。
彼女は小柄で、僕より頭一つ低い。顎に指をかけ上を向かせ、意思のない表情を覗き込む。
こんな間近で見るのは勿論初めてだが、評判以上に可愛らしい。金髪青眼の典型的なブロンドで、幼さの残る顔立ちは、笑うと花のように可愛いだろう。だが、今は僕のお人形、意思のない素の表情を快楽で歪めてみたいと嗜虐的な思いにとらわれる。
肩を抱き寄せ、穢れを知らぬ乙女の唇を奪う。一瞬呼吸をふさがれ息苦しそうにするが、鼻から呼吸をすることで、僕のキスを受け入れる。
遠慮する気は毛頭ない。舌を差し込み、彼女の舌と絡め合う。戸惑った反応を見せるも、抵抗なく僕の求めに応え始める。
口元で、くちゅくちゅといやらしい音がこぼれる。背後の窓は空いたままだが、ここは安アパートとは違う。この街で一番高い部屋、誰に見咎められることなく、思うさま彼女を貪ればよい。