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凶眼
【制服 官能小説】

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〜第2章〜 木曜日 ミリア-4

 「‥う、うん、今は大会に集中してくださいって。でも、じゃあ優勝したら俺と付き合えって言われて困ってるの」
 「‥あ〜あ、いいわね〜、選り取り見取りで。やっぱお金持ちのお嬢様は違うわ〜」
 僻みっぽい言い方だが、僕には彼女の気持ちがわからなくもない。
 「ひっど〜い、私お金持ちでもお嬢様でもないわよ」
 「ロイヤルハイツに住んでて、よくお金持ちじゃないなんて言えるわね」
 「あれはパパがオーナーさんと知り合いだから住んでるだけで、お小遣いは厳しいの」
 ‥ローラと言ったか、よくやった!
 好機を待ったのは正解だった。ロイヤルハイツなら知っている。市庁舎近くにそびえ立つ白亜のビルだ。ここからなら歩いて5分くらいだろう。
 それにしても、あんな高級マンションに住んでるお嬢様だったとは‥
 長年の間に染み付いた庶民根性が恐れを抱くが、同時に上玉を手にする期待が高まる。
 「もぅっ!そんなこと言うなら、今度ライブの招待券もらっても譲ってあげな〜い」
 「あ〜、うそうそ、ごめんなさい。ミリアは貧乏な庶民女ですぅ〜‥」
 「ちょっとぉ‥、それはひどくない?」
 ふざけ合う彼女たちを尻目に、一足先に喫茶店を後にした。どうやら計画通りに行けそうだ。

 すっかり暗くなった空に、星が瞬いている。
 少し離れた駅前は比較的人通りもあるが、ロイヤルハイツ近辺は無人に近い。なぜなら、セルディナ地区の中でも最高級のマンションが立ち並ぶこのエリアでは、住んでる人がごく限られているからだ。
 女の世間話は長いと見え、ミリアがマンション近くに姿を現したのは、たっぷり20分もたってからである。
 −ドクン、ドクン
 僕の胸で二つの鼓動が高鳴る。凶眼がその力を発揮するのには、何の疑いも抱いていなかった。
 そして待つ間、何度もシュミレーションした演技を実行に移す。ビルの角から姿を現すと、彼女と反対方向に行くようすれ違う。
 そして後ろから声をかける。
 「あ、すいません」
 反射的に足を止め、振り返る彼女。他はともかく、自宅近辺でルーデンス学園の生徒を見たことはないのだろう。同じ学園の制服を着た、見慣れぬ男子に怪訝な表情を向ける。
 しかし僕は落ち着いた様子を崩さない。
 「今これを落としませんでしたか?」
 そう言って、手を開き、彼女の眼前に差し出す。その手に握られた赤い宝石に目を近づけると‥
 「―僕に従え!」
こうして、ルーデンス学園人気No。1のチアリーダーは、僕のお人形さんへと化した。


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