〜第2章〜 木曜日 ミリア-2
半ば都合のよい解釈で自分を納得させながら、僕は次の相手を考えていた。
真っ先に思い浮かぶのは、生徒会長シルヴィア・ウィンストンの凛とした美貌である。あの高嶺の華である彼女が、僕のいいなりになって、その身を開く所は想像だけでもイきそうだ。
だが、話が3人となるなら、彼女は最後にすべきだ。おいしい物は最後までとっておく主義だし、昨日のように欲望に負けて、無我夢中で襲いかからないよう、もう一人くらい練習しておくべきであろう。
しかし彼女に劣らず魅力的な女性なんて、この学園には‥
―頭の中で、ルーデンス学園を応援する嬌声が響く。
いた。
早速僕は、彼女を虜にする計画を練り始めた。
放課後、僕は初めて塾をサボり、セルディナ駅の喫茶店で時間を潰していた。
ここに至るまでに、彼女については十分すぎるほどの情報を得ていた。
ミリア・ラスティン
昨日レアンに言いがかりをつけられる前、チアリーダーの練習で目を惹いた金髪の可愛い子である。彼女なら申し分ない。
ルーデンス学園1年C組チアリーダー部所属。好きな色はピンク、好きな動物はウサギ。将来の夢はスカイエンジェルスのチアリーダーチーム「KISS」のレギュラーになること。
両親は大手家電メーカーの重役で、海外に出張中。そのためマンションで一人暮らしをしているらしい。さすがにその住所まではわからなかったものの、高級住宅街であるセルディナ地区から通ってることは判明した。
ちなみに身長154p、体重48s、スリーサイズはモデル顔負けの84、56、85
どうやってここまで調べ上げたのかは知らないが、ルーデンス学園チアリーダー情報通を名乗るオタクは、プリティエンジェルのファンであることを話したら、まるで百年来の友であるかのように、ぺらぺらと話してくれた。
チアリーダー部の練習が終わるのは、大会が近いこともあって夜の7時を過ぎる。着替えてから電車でセルディナ駅に来るとしたら、8時12分着か42分着。おそらく後の便であろう。
僕の計画では、駅から彼女の後をつけ、人気のない所で接触し凶眼の虜にする、というものであった。
だが、しょせんは机上の空論。予想に反して、ミリア・ラスティンは12分の便で到着。そして予想外はこれにとどまらなかった。
ホームに降りたのはミリア一人ではなく、もう一人、別の女子と一緒だった。彼女がチアリーダー部の友達であることはすぐに分かった。なぜなら、二人とも、チアリーダーのユニフォームの上に学園のブレザーを羽織った姿だからである。