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〈不治の病〉
【鬼畜 官能小説】

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〈不治の病・其の一〉-4

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凌辱のあったその日の朝に、新しいナースが配属となった。

坂口亜矢・26才。

この病院が建つ前から、この近隣の町を代表する病院があり、そこに勤務していたナースである。
何の事はない。初代市長が院長時代に勤めていた病院の事だ。
亜矢は隣の県の出身なのだが、新しい病院には入る事が出来ず、古い病院の方へと配属されたのだった。
その病院は町にも近く、移動手段を持たぬ老人達に重宝されていた。
新しい病院のA棟と同じくらいの大きさの病院で、勿論、外来だけでなく入院患者の受け入れもあった。
しかし、施設の老朽化を理由に、あの新しい病院が建てられる事となり、その役目を終わらせる事となったのだが、地元住民の強い要望もあり、そのまま外来だけを残す形で運営されていた。

慢性的な赤字。

地元住民に感謝されながらの仕事は、これこそ看護師の仕事だと思え、やり甲斐を感じてはいたのだが、いくら汗水流して頑張ったところで、給料は現状維持がいいところで、その月によっては減額もあった。
ほんの少しの不満……そこをつくように、あの新しい病院の院長が亜矢に声をかけたのだ。


『あの病院は先が見えている。この病院なら、まだまだ未来があるんだから』


60代の斑に白髪の生えた院長は、数ヶ月も前から亜矢に誘いの言葉をかけ、異動の手続きまでも部下に指示していた。
熱烈なラブコールを受けて気分を害する人はおるまい……亜矢は自分の仕事ぶりを認められたと思い、半ば浮ついた気分のままで、新たな病院に飛び込んだのだった。



「今日からお世話になります坂口亜矢です。宜しくお願いします」


配属となった五階のナースステーションで、その階を任されている婦長と、忙しく働く他のナース達に挨拶をした。


『……ああ…宜しく』


他のナース達は我関せずといった感じで、素っ気ない返事だけを残して消え去り、新たにナースステーションに入って来た先輩ナース達も、どこか冷たい態度だった。


『あの人達の事は気にしないで。仕事中はあんな感じだから』


50代前半の婦長は、そう優しく話したが、口元だけが笑った不自然な笑顔だった。
小肥りで身長も低く、少し目が据わった顔つきは、心の中が読めない異様さがあった。


『さてと、坂口さんはまだ新人だから、患者さんが少ないB棟を受け持ってもらうかな。ちょっと一緒に見回りしようか?』


婦長に言われるがまま、亜矢は後をついて歩きだした。
ナースステーションを中継にして、A棟とB棟の廊下が二本ずつ伸びている。
それぞれに外壁の方にだけ入院患者用の部屋があり、内壁の方にはトイレや浴室、用具室があった。
やはり前に働いていた病院よりも、遥かに大きい。
亜矢はキョロキョロしながら婦長の後ろを歩いていた。



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