べたな?出合い-1
pipipipi……目覚ましの電子音が、無遠慮に鳴り響く。
「ううん・・・まだ眠いよ。あと5日・・・お願い、後3年・・・眠らせて。」
思いっきり単位の違う寝ぼけ方をするありす。
寝ぼけ眼で目覚まし時計の時刻を見る。
「やばっ!遅刻する!」
ありすは、飛び起きる。
「やばい!やばい!」
大慌てでパジャマを脱ぎ捨てると制服に袖を通す。
机の上の鞄を掴むと同時に部屋を飛び出しキッチンに駆け込む。
「まあ!ありす。やっと起きたの?」
「ママ!どうして起こしてくれなかったの?」
「起こしましたよ。何度も。その度に今起きるよ〜って言ったじゃない。」
「ちゃんと起きるまで起こしてよ〜〜。」
「ありすちゃん。目玉焼きと卵焼きどっちがいい?」
「そんな時間ないよ。これだけでいいよ。」
ありすは、食卓のトーストを1枚取り、銜える
「まぁ、ありすちゃん。お行儀が悪いわよ!」
「はって、ひこくひちゃう。」
そう言いつつ、走り出すといっきに階段を駆け下りる。
「あ、ありすちゃん!食べ物を銜えたまましゃべらないの!」
背後から母の声がする。
ありすが駆け下りると1階の店舗には祖母が開店の準備にためにいた。
「ありす。おはよう。」
「おばあちゃん。おはよう。いってきまーす。」
「おやおや。あわただしいこと。」
「ありすちゃんったらお行儀が悪いわ。」
母も階段を降りて来てありすを見送る。
「あの子は、トーストを銜えて走って行くなんてべたな事をして」
「きっと、転校生フラグが立ちましたわね。お母さん。」
ありすは、家を飛び出すと庭に駆け込んだ。
「おいで!シューティングスター!」
ありすが呼ぶと温室に立てかけられていた竹箒がありすの目の前に飛んでくる。
ありすは、ひらりと竹箒に飛び乗る。
「いけーーーーっ。シューティングスター!」
ありすを載せた竹箒は、家と学校を一直線に結ぶ最短距離を飛行する。
ありすが、シューティングスターと呼ぶ竹箒は、10秒で最高速度の512Km/hに達した。
時速512kmで飛べば、普通、振り落とされるし呼吸も不可能だがありすは魔法によってそれらを維持していた。
「もぐもぐ」時速512Kmで飛行する竹箒の上で平然とトースートを食べる。
「パターンなら、曲がり角で素敵な転校生とぶつかる所だけど一直線に飛んでるから曲がり角は存在しないから素敵なな出会いはないかな。」
あっと言う間に学校が見えてきた。
ありすは、屋上に降りことにした。
タッチダウンすべくアプローチに入る。
急減速してふわりと着地しようとした瞬間に目の前に突然黒い服を着た少女が現われた。
「えええっ!」