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美咲推し!!
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演劇部バレンタイン公演-11

私達はステージの上に上がり、自分のポジションについた。私の心臓の音が隣の人にも聞こえそうで、自分でも緊張しているのがわかった。私は他のメンバー達に気づかれないようにしていた....私の緊張がみんなを萎縮させたくなかったからだ....一番前に立つ私が振り返るとみんなが緊張しているのがわかった....勿論....適度な緊張感は必要だが、過度な緊張感は必要ない....みんなに何か言葉をと思ったが、私は自分の事で精一杯だった....そんな時....以前私の悪口を言ってた人の言葉が思い出された....もし私がいる事でこの公演が受け入れてもらえなかったらどうしよう....そんな弱気な考えが浮かんだ....私は弱気な自分を取り除くために、大きく息を吐き出して、両手で頬を叩いた。
「ヨシッ!」
自分に気合いを入れた。みんな私を注目した。
「ん?みんなどうかした?」
「なんか気合い入っているなぁって....」
葵ちゃんが答えた。
「変かなぁ?」
私が照れながら笑うと
「さすが私達のエース!!頼りにしてるよ!美咲!」
そう言った美結に笑顔で頷いて
「もうすぐ始まるよ!みんな気合い入れていこうね!!」
私の言葉にみんな頷いた。
幕が徐々に上がり、私の心臓の音はピークに達した。
「AKABANE.....」
麻里の声が響いた。
「24!!」
メンバー全員で叫んだ。
「葵!!」
演劇部員以外の男子生徒からの声が聞こえた。
「麻里!」
女子生徒からの声も聞こえた。
それから他のメンバー達への声援も聞こえた。
そして....嬉しい事に私への声援が一番大きく聞こえた。
歌が始まり、ノリのいい校風も手伝って二曲目にはかなり盛り上がっていて、三曲目には最高に盛り上がっていた。実際のAKBの公演に行った事がないのでわからないが、本物の公演もこうなんじゃないかと思うくらいだった....
最初の四曲は24人全員で歌い、何度かのMCを挟みメンバーを入れ替えてシングル曲を中心に進んでいった。私と葵ちゃんと麻里の三人は全曲歌った。
そして最後はAKBが毎年出している桜ソング四曲を24人全員で歌う事になっていた。正直いって桜ソングの二曲目のフリが激しい物だったので、残り二曲が合唱曲だったのは助かった。
桜ソングの四曲も終わり、みんな一列に並んだ。
「ご卒業.....」
麻里の言葉の後
「おめでとうございます!」
メンバー全員が声を揃え深々と頭を下げた。
それから全員ステージから降りていった。私も麻里も葵ちゃんも休憩無しでステージで歌い躍っていたので、三人共に水を飲んだ。
「ああぁ...生き返った!」葵ちゃんがもらした。
「ステージの上...暑くって....みなさんはスカートだけだけど....ボクはこれも履いているから暑くって....」
葵ちゃんはスパッツを指差した。スポーツトレーニング用の膝上の伸縮性に富んだ物とはいえ暑そうだった。
「葵ちゃん!!だからといって脱いだりしたらダメよ!大変な事になるから....」
麻里が笑いをこらえながら言った。
「わかってますよ!」
葵ちゃんは諦めたように答えた。今はどこから見ても可愛い女の子だが、元々は男の子だ....激しく躍るのでスカートの中が見えてもいいようにスカートの下にスパッツを履いているのである。
「アンコール!アンコール!」
客席からアンコールの大合唱が聞こえた。
「いくよ!みんな!」
麻里の声に
「ハイ!」
みんな気合いを入れ直した。
私達がステージに上がると大歓声が起こった。一応予定通りとはいえ、もしアンコールの声をかけてくれるのが男子部員だけだったら....なんて思っていたので本当に嬉しかった....メンバー全員そう思っていたみたいで自然な笑顔が出ていた....


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