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美咲推し!!
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演劇部バレンタイン公演-12

「みなさん本当にありがとうございます!」
麻里が叫んだ後、全員頭を下げた。
「私達は全力で歌いますので、一緒に盛り上がりましょう!」
「AKBの代表曲でまだ歌ってない曲がありますね!!」
麻里が叫んだ後で私が叫んだ。
「AKBといえば総選挙!その総選挙の結果を受けて作られた曲を聞いて下さい!」
葵ちゃんも私達に続くように叫んだ。私達が一言叫ぶ度に大歓声が上がった。
このアンコールは絶対に成功させなければならない....そんなプレッシャーに私は襲われていた....



それは昨日、レッスン終了後の中田先生の言葉から始まった
「みんな私の厳しいレッスンによくついてきてくれたね!!本当に頑張ったよ!!明日の公演は絶対成功する!!今日は明日に備えてゆっくり休みなさい!」
「ハイ!ありがとうございました!」
私達は全員で返事した。
「それから...美咲!」
「ハイ!」
中田先生が初めて私を名前で呼んでくれた....中田先生はその実力を認めた者しか名前で呼ばないので、先生に認められたみたいで嬉しかった。
「あなたはこのチームのエースです。だからあなたの実力を信じて、アンコールのフリを変えます!」
「!!」
私は驚きのあまり言葉が出なかった....レッスン終了後に急に言われても....メンバー全員に動揺が走った。
「ハイ!みんな静かに!」
中田先生は一回手を叩いて自分に注目させた。
「みんなはレッスンと同じようにやればいいのよ!ただ美咲だけ変えます!」
「急に言われても....」
私が自信なさげに言うと
「美咲!あなたなら出来ます!いいえ!美咲だから変えようと思ったの....美咲....みんなも聞いて!ハッキリ言います!最初から最後まで魅せられる演技をしているのは美咲一人だけです。!」
「そんな......」
みんなかなりショックを受けていた....
「残念だけど...事実です。もっと時間があったら....みんなをレベルアップさせてあげる事が出来たのに....本当にごめんなさい...」
中田先生は頭を下げた。
「正直に言うと...柏木先生からこの話しを聞いた時、断ろうと思ったの....時間が無い上に、ダンスの中心を選挙で決める....そんなに簡単に出来るわけないって思ってた....」
中田先生は私を見つめた。
「そんな私の考えを変えてくれたのは....美咲...あなたなの....」
「えっ?私ですか?」
中田先生は一度頷いて
「美咲を一週間指導して...この子ならなんとかなるかもしれない....そう思ったから....必要以上に厳しく指導したの....美咲は私の期待通りに....ううん期待以上に上手くなっていった....」
「私は誉められて伸びるタイプなんだけどなぁ....」私はふと呟いた。
「何言ってるの!美咲は怒られて伸びるタイプよ!」
「ヤダァ...誉められるほうがいい....」
中田先生は笑顔で私と麻里の会話を聞いていた。
「美咲を中心に据えて、他のみんなを美咲がよりひきたつように配置する....そうすればなんとか魅せられる物になる....そう考えてたの....でも....織田さん....あなたの一言が私の考えを変えるきっかけになったの....」
「私の?」
「そうよ!私が美咲に過度の期待をかけて、その期待に応えられないで美咲が悩んでいる時に、ワザと悪態をついて美咲のやる気を引き出した事を覚えてる?」
「ハイ....」
「あなた、あの時言ったよね!!私達気合い入れてレッスンしないと、北原美咲with演劇部員になるって....みんなその時は信じなかったけど、その後の美咲の成長を見て目の色を変えてレッスンに取り組んだ....その姿を見て、美咲をどう生かすかという構成から、チームとしてどう魅せていくかという構成に変えたの....」
中田先生はみんなの顔を見渡して
「みんな本当に頑張ったよ!私の想像以上に成長した....でも....基礎体力が足りない....二・三曲ならうちの部員達と比べても遜色ないパフォーマンスが出来る....しかし、みんなが演じるのは二時間近い公演....最初から最後まで変わらないパフォーマンスが出来るのは美咲だけ....松岡君は男の子だからかもしれないけどなんとかついていけてる....あとは織田さんぐらいね合格点をあげられるのは....」
「...........」
みんな言葉を出せなかった....


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