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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2


拓斗は、瑞稀が頷いたのを見ると、微笑んだ。

「そっか。・・良かった」

最後の言葉は、わざと小さく言ってみる。
瑞稀に、聞こえないように。
だが、予想を裏切り、瑞稀の耳にちゃんと届いてしまった。

「何が?」
「・・!き、聞こえたのか!?」
「うん」

なんにも思ってないその顔で頷かれてしまい、拓斗は戸惑う。
勿論、瑞稀は全く分かっていない。
ただ、ここまで戸惑った拓斗を見たのは初めて。
だから、少しドキドキしてしまった。

「・・と、とりあえず、今日中に終わらせちゃおっか!ね!」

そのドキドキを悟られないように、瑞稀は、自分のパソコンの席に戻った。
と、いっても隣の席なのだが。
拓斗も、戸惑いを隠しながらパソコンに向かった。


そんな調子で、時々お互いをからかいながらも無事、ルールブックを完成させた。



「凄い!本当に今日出来たの!?」

完成したルールブックを印刷して冊子に仕上げ、審判担当の先生に提出すると、
驚かれた。
理由は、まさか一日で完成するとは思ってなかったとのこと。

瑞稀は笑顔で、拓斗は溜め息をつきながら呆れ顔で同時に頷いた。

すると、ちょうど担任である中岡先生が職員室に入ってきた。
そして同時に二人の存在に気づいたようで、近づく。

「二人とも、お疲れ様」
「先生。ありがとうございます。」
「・・ども」

労いの言葉をかけてもらい、嬉しくなった瑞稀は笑顔でお礼を言った。
拓斗もそれは同じなようで、ぶっきらぼうだが、少し赤くなった顔で頭を下げた。
その二人を見比べて、先生は満足そうに笑った。

「ふふっ」
「「・・?」」

笑顔の意味がよく分からず、首を傾げて顔を見合わせる瑞稀と拓斗。

「二人とも、随分仲いいのね」
「「・・え?」」

先生が告げた言葉に一瞬なんのことだか分からずに、互いの顔を見る。
そして、意味が分かったようで拓斗はバッと瑞稀の顔から自分の顔をそらす。
そんな拓斗の顔を凄く赤い。
一方、瑞稀はイマイチよく分からず、顔を逸らした拓斗を見る。

その二人の様子を見た中岡先生はまた笑う。

「あらら、八神さんは無自覚みたいね。天然ってこういう事いうんだね」
「へ?せ、先生、どういうことですか?」

先生の言葉に余計訳が分からなくなった瑞稀はますます首をかしげる。
そして、隣に立つ未だに顔を逸らしたままの拓斗に目線を送る。

「鈴乃、どういう意味かわかるの?」
「え・・、お、俺に聞くな・・」
「だって、鈴乃、分かったんじゃないの?」
「いや、分かったっていうか、だから、その・・っ、クソ、八神の鈍感!」
「は!?鈍感じゃないし!意味わかんないよ!」」
「だから鈍感だって言ってるだろ」

モゴモゴ言ったと思ったらいきなり告げられた言葉に、瑞稀は反論する。
言ってしまった手前、あとに引けなくなったのか、
拓斗も負けじと言い返す。
目の前で、口喧嘩が始まってしまったので、中岡先生も、審判担当の先生も驚く。
目を丸くさせて、どうしていいか分からないようだ。
そんな教師の前で、終わる気配の無い口喧嘩を続ける瑞稀と拓斗。

お互い、気持ちの変化に追いつけていないのだろう。
特に、恋愛に疎い瑞稀は・・。


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