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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3


数日後・・。

互いの気持ちの変化に気づきつつ、二人は自分たちの仕事に取り掛かる。
瑞稀は、本当によく分からないので気にしないように。
拓斗は・・気づいていながらも、何もない振りを。
つまり、二人はよく話す“友達”として過ごしていた。

そう本人達は、思っていてもやはりというか・・。
周りは、“友達以上”と思っていて、何かと冷やかしをかけてくる。
瑞稀は一生懸命弁解をするが、体力と精神力を使い果たすだけ。
拓斗は全く干渉してこない。
ただ面倒なのかもしれない。

そして、運動会まで残り一週間を切っていた。

「んー・・終わった」

場所は変わって、体育倉庫。
体育等で使われる備品は全てこの倉庫に入っていて、この倉庫の掃除や管理を運動委員会がする。
ちなみに、体育館にも同じ倉庫がある。

審判で使う旗などの道具を確認していた瑞稀は伸びをして、使いすぎの身体をほぐす。
そして、そのまま倉庫を出ると隣の石灰が置いてある倉庫に顔を出した。
真っ白な倉庫のなかに、蒼いモノがぽつんとあった。
その蒼いモノは、人間。
瑞稀はその人物に声をかけた。

「鈴乃、終わった?」
「あぁ。」

声をかけられた蒼いモノ・・鈴乃拓斗は、顔を上げて瑞稀の方を向いた。
拓斗のズボンは、裾が真っ白になってしまっていた。

「あ・・。鈴乃、出て出て!」

それに気づいた瑞稀は拓斗の出るスペースを確保してから呼ぶ。
拓斗は首をかしげながらも、石灰の倉庫にいたくないため早々に出る。
出てきた拓斗の足元に膝まづいて、ズボンの裾についてしまった石灰を取ろうと、
ちょうど足首の部分をはたく。

「!!・・お、おい、八神?」
「ちょ、大人しくしてて。すっごい真っ白だよ?」
「あ・・本当だ」

瑞稀に言われ、ようやく気づいた拓斗も瑞稀がはたいていない方の足首の部分をはたく。
そのはたいた煙が、瑞稀の顔の近く舞ってしまった。

「ケホッ・・ちょ、鈴乃。煙、煙!」
「あ、わ、悪い!大丈夫か?」

石灰の煙が目に入ってしまい、涙目で訴えた瑞稀に拓斗は慌ててはたく手を止めて顔をのぞき込む。
急な顔の近さに、瑞稀は驚く。
照れ隠しで、はたく手を思わず強くすると、拓斗の足首に当たったようで、
「って・・」と声が上がる。

「あ、ご、ゴメン・・」
「・・いや、大丈夫だ」

拓斗は、この状況に恥ずかしさを感じたのか。
瑞稀を直視出来ず、顔を横に向けたまま。
その瑞稀はパンパンとズボンの裾をはたく。

そして、ある程度落ちたところで瑞稀が立ち上がった。

「こんなもんかな・・。あとは洗濯しないと。」

そう言った瑞稀は、拓斗の顔が横に向いたままなことに気づくとムッとした。


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