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名探偵 鳴海清隆─新たな人生の始まり─
推理リレー小説 - 二次創作

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名探偵 鳴海清隆─新たな人生の始まり─ 4


 悟られるであろうことはわかっていた。清隆はそれを承知で今日、歩に会いに来たのだ。

 「……ああ」

 スーツの胸ポケットから例の封筒を取り出して歩に渡す。

 歩はそれをみるなり、相変わらず無表情のまま清隆に視線を移した。

 「ブレード・チルドレンからの殺人予告か」

 ブレード・チルドレンから、と歩が断言したのには、ある理由があった。

 「予告状とは、レトロなものを」

 「私の立ち位置をはっきり把握したかったのだろう。自分の味方なのか、歩の味方なのか」

 「どっちなんだ?」

 歩の言葉に、清隆は少々面食らって答えに詰まった。

 もちろん迷ったのではない。
 ただ、驚いたのだ。

 「……歩だよ。当然だろう」

 「そうか」

 「今日まどかにも話す。安心しろ、私がお前を殺させない」

 ピアノの鍵盤に指を置き、音が鳴らないようゆっくりとそれを押す。そして歩は、清隆と目を合わせてはっきり言った。

 「信頼してるよ」

 「ああ」

     *

 可能性はあると、清隆も歩も、まどかを含めた何人かの関係者も思っていた。

 ブレード・チルドレン――ミズシロ・ヤイバの本能に目覚めてしまった子供たちが選ぶ選択。
 希望を見いだし、運命への抵抗を始めた子供たちを再びそのリングへ引き戻す選択。

 希望の排除――すなわち、歩の死。

 “希望”としての歩の存在は大きい。

 この巨大なチェス盤で、さらにその盤の外へと導く標となる歩の存在は、いまやなくてはならないものとなっていた。
 だからこそ、その未来を良しとしないものが、歩の存在そのものを厭うことがあることを。

      *

 「ろは?」

 予告状の最後に添えられていた奇妙な二文字にまどかは目を止めた。

 「ろは。これは暗号だ」

 清隆や歩が一見で看破した暗号だが、まどかにはやはりきつい。

 まどかが賢くないわけでは、決してないのだが。

 「“ろ”と“は”。これは、いろは唄の二文字目と三文字目だ。“いろは”といえば、日本語ではものごとの初まりの比喩としても使われる。これは英語ではABCと表現される」

 そこまでの説明で、まどかはその意味を理解する。

 「つまり、これはアルファベットの二文字目と三文字目、“B”と“C”を示しているのね」

 「そう。B・C」

 「……Blade Childrenか」

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