『家族』 4
「…さん。…リアさん。神谷マリアさん!」
私が目を覚ますとパパやママ、弟までいなくなっていた。
「パパやママたちは?」
「何者かによって殺害されました。」
死んだんだ…
悲しみと共に喜びが沸き上がって来た。
何故喜ぶの?
答えはなかった。
「あなたが重要参考人として出頭を命じられました。出頭願います。」
そして再び私は黒くなっていった…。
私が次に目覚めたときにはどこかの冷たいコンクリート張りの建物の中にいた。いつの間にか、今まで着てた病院着じゃなく透けたキャミソールだった。
なんで?私はおかしいんだ…
あれ?“ステラジン”?
あのおじいさんが注射した薬だ!
男が現れた。
「リナ、愛してるよ。」
リナ?私?
「私、マリアっていうんですけど…」
「どうしたんだ?リナ、大丈夫か?」
「よくわからないけど私、病院に帰ります!」
ガチャガチャッ。
「どうしたんだ!」
バンッバンッ!
「しょうがない!これを打とう!」
男にステラジンを打たれると黒くなっていき、遠くで女と男の声がすると完全に終わった。
真っ黒な中でマリアは考えた。
もしかしたらステラジンによって他の人間になっているのかも知れない。
…多重人格?
ステラジンが起こしているの?私が狂ってるの?
結論は見つからないまま、考えることすら出来なくなっていった。
次に目を覚ますと私の上に太った男が乗っかっていた。なぜか男は腰を動かしている。その直後、お腹の中に暖かいものが出てきた。男は訳がわからないことを言う。
「ミホちゃんもさすがだよねえ。こんな若いのにもうお母さんなんて」
えっ?お母さん?なに?何のこと?
でも、ミホでいなくちゃ。
「ええ。まさかそうなるとは思わなかったです。」
「ミホちゃんってさ、確か
18歳だよね?」
え?私、まだ14歳じゃなかったっけ?
4年も経っちゃったの?
しょうがないか…3年間寝てたんだし…
「はい。」
すると男の姿が歪んで黒くなっていった…
ああ、次はいつまで眠るの…?
私が次に現れたのは最初の家だった。
私には冷たい家しか思い浮かばなかったが、壁にあった写真立てにはパパやママ、弟とが芝の生えている丘で微笑んでいる。その中には、弟を抱き満面の笑みを浮かべた私が居た。
でも、なんで誰も居ないの?
なんで荒れているの…?