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殺し屋のあなた
その他リレー小説 - アクション

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殺し屋のあなた 41

『C4』を失ったプロイバはどうするか、という事である。
考えてみれば分かる。プロイバは『C4』が居なければ政治活動をやっていけない。『C4』が見えないと所で邪魔者を消すか、プロイバ自身に知恵を吹き込む事で、プロイバはここまでやって来たのだろうから、『C4』が居なくなれば、その地位と財産を使い、『C4』を血眼になって探すであろう。
表の社会にも優秀な人材は要るわけだし、何より『C4』自身がプロイバに見付けたがられるだろう。目的は分からないが、『C4』はプロイバに成功させたがっている。
「二人は互いに求めあう」
「遺志は違えど、な」
「互いに求め合うのなら、片方を殺してしまえということか…強引なやり口だな」
「僕もそう思うよ」
「嫌いじゃないがな」
「それはどうもだよ」
『知恵の輪』は調子取り戻したのか、にこにこと、また無邪気な表情に戻りだした。
「でもそれがむつかしーんだよ。『C4』の肩書きはは『秘書兼ボディガード』だし、プロイバさん小心者だから、私兵もってるしね〜。プロイバ殺して、『C4』だけ殺さないってのはどーも…」
『知恵の輪』は、うーん、と唸り
「そこで君の出番なんだよ!」
と、芝居がかった動作でレイザーを指す。


「『終りを告げる鐘』『月光の戦姫』『アイス・ベビー』。名うての名手が三人もいる。そこにうちの『窮鼠』も加われば怖いもん無しなんだよ」「成程な。つまり俺は人質か…」
そう。これがレイザーの拐われた理由。
プロイバに組する者をカノン達に消させて、尚且つ、殺さずに捕獲した『C4』とレイザーを交換する。それが、『知恵の輪』の描いた策。
「利害は一致してるよね?ただ『C4』を殺さないというクリアー条件が増えただけ。もちろん、なんなら君も暴れてくれても良い。友達は信用するもんだからね」
「……」
しばし、沈黙のレイザー。そして
「断ったら?」
「殺すよ」
レイザーはニヤリと獰猛に笑って、言う。
「良いだろう。乗ってやるぜ。カノン達は俺から巧く伝えて『C4』を殺さないようにしてやる」
『知恵の輪』もまた可愛らしい笑みを溢し、言う。
「プロイバさん家にはもう手は打ってあるんだよ。そろそろ……来たようだね」
耳を澄ますと、外からはジープのような四駆のエンジン音が五つ以上聞こえてくる。
「さあ、役者は揃ったって訳だな。ダンスパーティを始めるんだよ」
倉庫の前では、カタカタと小さな音が鳴っている・・・。
「カノンの奴・・・もっと慎重になれよ」
「まあまあ、愛しのレイザーさんが誘われたんだから・・・」
レイザーは笑みも漏らさずに話を続ける・・・。
「・・・もし俺が誰かに殺されたら、あいつは一人で生きていくしかないんだ・・・」
『知恵の輪』は興味も示さずに、倉庫の扉を見続けた。


「ここかしら?」
カノンは落ち着きもなくルナに聞く。
「落ち着きなさいよ。どうせ生きてるわよ」
「その通りだ。『煙』は簡単に死なねーよ」
その会話に噛み付くように、タキが喋る。
「そんなことは後だ。『窮鼠』はどこにいる?」

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