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殺し屋のあなた
その他リレー小説 - アクション

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殺し屋のあなた 1

 「あなたが生きてることであたしの存在があるの。勝手に死なないでね。」
あたしは煙草を吸っている男を見て言う。あたしの名前はルナ。
「お前だって、いつ死ぬかわかんないだろ?」
彼の名前はラスト。
あたしたちは暗殺業でごはんを食べている。
「ほんと!・・・殺し屋家業やってるのに、殺し屋の映画見るなんて変よ、ラスト!」
「うるせぇ!・・・趣味だよ、趣味!」
大量に借りてきたビデオを、だらしなくソファーに横になりながら見るラスト・・・一仕事終えた彼の日常の過ごし方。
そして、ソファーに寝転びながら、愛用のグロック17をいじるのも彼の普段の癖だった。
機能性と実用性を重視するラストはこよなくグロックを愛用している。
あたしのジェリコを見ながら『趣味じゃ人を殺せんぞ』なんて言うが、ジェリコはジェリコで良い所がある。
あたしより、グロックオンリーのラストの方が趣味丸出しだと思うんだけどね・・・

だが俺の手にかかれば…ぐ〜…
「おきろ〜」
すやすや
夢うつつ、寝言で訳のわからない武勇伝を語りつづけるラスト。
「今日は朝から射撃場に行くって…ラストが言い出したんだからね!」
ぷうっ、と頬を膨らませたルナ。ジェリコ拳銃の弾倉を抜き、無造作にスライドを引いた。
「!」
聞き慣れた金属音に反応し、跳び起きるラスト。
銃本体…薬室に残っていた未使用の実弾が排出され、小馬鹿にしたように、ラストの鼻を直撃して床に落ちた。
「いいかルナ!銃で遊ぶな、プライベートでは薬室を空にしろ、セフティもかけてなかったろ?それから…」
ルナは機関銃のように吠えるラストを、新婚夫婦のやり方で黙らせた。
「ん…」
「お・は・よ」
…ルナの唇から解放されたラストはのろのろと着替え、グロックを納めたガンケースを小脇に下げる。
「は〜や〜く〜!」
車のナビシートからアホみたいな大声で叫ぶルナをなだめるラスト。デートじゃねーんだぞまったく…。
昼下がりのシューティングレンジ、どうやら先客がいるようだ。

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