星の剣/夢の傷跡 1
風が吹いていた。轟々とうなるような風が荒野に吹いていた。
その中を二つの人影がゆっくりと歩いていた。
二人とも子供ともいえる大きさの人影だった。
「辛くないか、シルア」
「いいえ大丈夫です」
「そうか。もうしばらくしたら町に着く。我慢してくれ」
「はい」
二人が歩いているのは大陸の中央より少しはなれた鉱山都市の道沿いだった。
このあたりは民家は少ない。
野菜が育ちにくい土地せいもあるのだが、一番の問題は安全性だ。
「グルルル」
町から離れているために、野生のモンスターたちが未だに横行していた。
警備たちもここまで警備対象に入ってないために、町に入ろうとする旅人や旅商人たちの多くがモンスターたちの牙によって倒れている。
「シルア、離れるな、野犬だ」
周りを囲んだ十数頭の犬を見て、少年は腰の鞘から剣を引き抜きながら少女へ声をかける。
野犬というのは旅人にとってかなり嫌われるモンスターの一人だ。
実力だけならばモンスターの中でも最下位、ゴブリンにも負けるだろう。
しかし、その俊敏性、集団性、匂いをかぐことでの追尾、さらには牙や爪による破傷風。
やっかいと言える。
更に、今回は護衛対象がいるとなれば、本気で迎撃しなければならない。
「炎の息吹よ」