イキルミチ 2
「溺れる者は藁をも掴むというのだから、試してみる価値はあるかもしれませんよ。」
――藁の価値しかないものにかけるか…
――まあ、暇つぶしになるだけの価値はあるかな
「ご決断されたようですね。それでは失礼します。」
そういってそばに置いてある鞄から何かを取り出した。
――なっ!
身体が動けず、声も出せない僕は、目を見開きただ息を呑むことしかできなかった。
生きた肉片
そうとしか表現できないものが筒状の容器に入れられ蠢いていた。
直径1pほどだろうその肉片は息衝くように鼓動し脈打っている。
男は容器の中身を素手でおもむろに取り出すと、僕の胸に押し付けた。
――――――――!!
肉片が急激に蠢いたと思った瞬間、人差し指ほどの細い形に身体を変えながら、僕の肉を掻き分けなかに入ってきた。
もちろん麻酔なんてしていない。
自分の中に何かが入ってくる不快感と肉を掻き分ける激痛にショック死するのではないか…
俺は声のない叫び声をあげていた。
どれくらい時間が経ったのだろうか
気絶することも許されない激痛に耐え、自分がいる場所が元いた病室でないことに気付いた。
そこは四方を白い壁で覆われ入り口らしき場所には格子がある隔離病棟のような場所であった。