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白々黒々世界
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白々黒々世界 13

「姉貴も心配性だな。いくら双六だって後を継ぐ者を適当に決めるわけないだろ。事実、俺には彼女の底が見えなかった。潜在能力で言えば、猟次と同程度といったところかな。」

話に割って入った酉はメロンソーダの底に沈んだサクランボをストローでかき混ぜながら、興味なさそうに言った。だが、木霊はまだ納得がいっていないようで、さらに双六に詰め寄ろうとした。ちょうどそのとき、部屋の入り口で物音がしたかと思うと、香燐がつまずいて出てきた。
「どうしたんだ香燐、寝苦しくて起きたのか?」
「うん、まあそんなところかな…。喉も渇いてたから水でも飲もうかと…」

先程までの会話を一部始終盗み聞きしていた香燐は、なんとか取り繕うと双六の言葉に相槌をうった。
視線を泳がせる香燐の言葉は説得力など皆無であったが、双六たちは特に気にする様子もない。


(酉さんや木霊さんって、双六が殺し屋してること知ってるのかな?いや、もし知ってたら二人とも反対して双六も殺し屋なんてやってないだろうし・・・)

冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲みながら二人の様子を窺っていた。義兄になった酉はどこか変態じみたところはあるものの、悪い人ではなさそうだ。また義姉の木霊は世話焼きな性格をしており、実質家族の生活、家事を一手に引き受けている。
一般人であろう二人が父親の本職を知ってしまえば家庭崩壊は免れない。

(おそらく双六の秘密を握っているのはオレ一人だけのはず。何とかこの秘密を死守しなければ!!)

そんな決意を胸に刻んでいることも知らずに酉は、先程話していた話題に話を戻した。

「やっぱりこの問題って当事者が決めるべきものじゃないのか?」

「後継者がなんとかって話ですか?どういう意味です?」
「ふむ、遺産相続とでも言った方がいいのかな。私が持っている権力や財力、その他の力と呼べるものの相続する権利を譲渡するということだ。まぁ、多少のリスクはついてはくるがね。」
「喜んで相続させてもらいます!!」

双六の簡略化された説明に金と権力に目が眩んだ香燐コンマ一秒の早さで安易に承諾した。

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