PiPi's World 投稿小説

トリップ・ドリップ・ストリップ!?
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 12
 14
の最後へ

トリップ・ドリップ・ストリップ!? 14

 あの野営地で機械騎士を見かけなかったのは、近くの森に隠していたからだ。周りには沢山の有機物がある。後は無機物系の物質を置いておけば、機械騎士が勝手に修復という名の食事を行う。まさに一石二鳥だ。

 機械騎士にはいくつかのタイプが存在する。クレアの部隊に配備されているのは、巨大な剣や戦斧を装備した近接型、魔力エネルギーを打ち出すショルダーキャノンを装備した中〜遠距離型、索敵や全体に指示を出す支援型の3種類だ。機械騎士の中ではごく一般的な部類らしい。

 この世界には戦闘に関してひとつだけルールがある。平原のような開けた場所における白兵戦の場合、先に歩兵部隊同士が戦う。そして最後に機械騎士部隊同士が戦うというものだ。
 僕が戦場を見たとき、まだ機械騎士は後方で待機し、歩兵部隊が戦っていた。戦いが始まってそれ程経っていなかったからだろう。
 この世界において、歩兵同士の戦いは謂わば前哨戦。公の戦闘にて真に決着をつけるには、機械騎士による勝負が必須だ。例え歩兵戦で押されたとしても、機械騎士戦で挽回すれば勝利した事になる。

 歩兵戦から機械騎士戦に移るタイミングは人それぞれ。大体はどちらかが機械騎士を繰り出せば機械騎士による戦闘が始まるもの、らしい。明文化されたルールではないため、法的な拘束力はなくむしろマナーと言った方が良いのかもしれない。
 無論、そのマナーを破って戦ってしまうと後から周りにねちねちと言われてしまうのは思うに難くない。

「ふうん。なんか面倒」
「これは立場ある人間の矜持の問題だからな。戦争中はこんなまどろっこしい事をする奴はいないだろう」

「そうですね。魔攻部隊もいるでしょうし、総力戦になるのは明白です」

 クレアの部隊には魔法戦闘に特化した魔攻部隊がない。流石に魔法のみで戦えるような才能ある人材は希少だ。一般的に魔法は半数以上の人間が行使可能だが、補助的な使い方が殆どだ。
 例えば風を操る魔法が使えたとする。歩兵戦においては自身の移動を助けたり、得物での攻撃をやや強めたり、相手に目眩ましを仕掛けたりと、活用はできるが効果は扱う人に拠る。
 クレア自身、戦闘では補助的に魔法を使えるらしい。それも人並み以上の効果があるとか。

 魔法にはやっぱり属性や強さのレベルが存在する。一通り説明してもらうには時間が足りないようだ。現時点で言えるのは、魔法の強さは人の才覚次第であるということ。
 ちなみに、機械騎士は人の魔法エネルギーで動く。動力源ではないが、稼働するには必要だ。乗り手となった人間の眼紋が登録され、以後その乗り手が死亡するか、特殊な操作をし登録抹消をするまで正式なパイロットとなる。登録をしたパイロット以外操縦を受け付けない。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す