PiPi's World 投稿小説

契約
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 1
 3
の最後へ

契約 3

生活に支障が出ない,味覚にすることにした


(…味覚にします)

少しして
男は,自分の口が空っぽのように感じた
そして,今から行くレストランより
これからは,彼女の料理を味わえないことを想像して
悲しくなったのだった…


数年後,
男と女は結婚し,新しいを命を授かった

プロポーズは,あの後に行ったレストランでだった…


……

男は会社で働き,家族が増えるので,更に頑張った


外回りをしている時,携帯電話がなった


「カナさんの旦那さんですね?」


知らない電話番号だが,電話に出てみると
何故か彼女の名前が…


「どちら様ですか?…カナになにかあったんですか??」


その声は,ゆっくりと落ち着かせるように話してくれる



「奥様は,妊娠10ヶ月目ですが…少し早めに生まれそうなので…破水が始まり,今救急車で病院に向かっています…旦那さんも来て下さい」


男は動揺した,早産であることが分かったからだ


男は,彼女と新しい命が大丈夫であることを願うしかなかった…


((二人を助けたいなら,願いは2つだぜ))

男の考えを読むように,頭の中で声がした

しかし,男は別の願いを悪魔にいった

(彼女を運んでいる救急車の中にいることにして下さい…)


((その願いでいいのか?…どちらかが死ぬかもしれないぞ))

男は答えた

(今,彼女はとても不安なはずです…その場にいることが大事なんです)


悪魔は男に質問した

((この願いは誰の為だ?))


(俺と彼女,新しい命の為だ…)


((分かった…))


しばらくして気付くと,救急車の中にいた


男は手を握りしめ,彼女を励まし,落ち着かせるよう努めた

((どの感覚にする?))


男は悩んだ,視覚や聴覚,触覚どれも大切だ

しかし,働かなければならない…


新しく生まれる命を抱きかかえることを思ったが…苦渋の選択の末
触覚を願いの代償にする事にした


(…触覚にする)

しばらくすると,彼女の手の温もりや,肌触りが分からなくなった


しかし,産声とともに明るい光が見えた気がしたのだった


男は,命を抱くがその手が何かを感じることはない

しかし,目や耳でしっかりと新しい命を感じることが出来た

「神様…ありがとう」
そう呟いたあとに,
彼女にも,労いの言葉をかけた

とても幸せな空気に包まれていた


((悪運の強いガキだな…))


(違う…この子は希望の光なんだ)


悪魔の言葉に,確信を持って答える父の顔があった


……数年後

子供は,来年小学生

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す