契約 1
夜中…
寝苦しくもないのに,何時の間にか目覚める時はないだろか?
……………………
男は,夜中の4時を回った所で,目覚めた
部屋の隅には,人影が……
しかし,驚くこともなく,その存在を受け入れていた
「貴方は,どうしてここに居るんですか?」
冷静に男は,尋ねた
「「選ばれたんだよ…お前がな」」
その返答に,男はまた質問をした
「俺が何に選ばれたんですか?」
「「願いを5つ叶えられるんだ…人間でいう,宝くじに当たったんだ」」
「貴方は,何者ですか?」
「「俺は悪魔だ…願いを1つ叶える代わりに,お前の五感を1ついただく…五感を全て失った時,お前の魂を喰う…これを説明することが契約条件だ.」」
それを聞いて男は,尋ねた
「もう,解約は出来ないのですか?」
「「無理だ…願いを使わず,天命を全うしても,死後に,お前の魂を喰う,一つでも使ったら,やはり魂を喰う」」
男は,何故か自然と受け入れていた
しかし実際は
格が違う相手と,異常な事態に呑まれているだけであった
「「願いを叶えたくなったら,頭の中で強く俺を呼べ…叶えた後に,五感の1つをいただく」」
そう言い残し,悪魔は影の中へ消えていった
それから数日は嘘のように,平凡な日常であった
……
いや,数ヶ月…男は悪魔が出たのは夢であったのだと思い始めていた
…………
もう数年が経って,悪魔との契約が,頭の隅になんとか残っているだけであった
男は,大学四年生
講義が終わり,バイトに向かっていると,道で二人の男が喧嘩していた
周りの人達は,関わらないようにする人が大多数で
数人が,チラチラ見ている
一人の男が優位になり,もう一方の男は,殴られるだけになっていった…
男は思った
(喧嘩を止めたいな…)
その時,頭の中で声が聴こえた…
((願えば良いんだぜ…))
男は,懐かしくも恐ろしい声に 契約を思い出した
(もし,喧嘩を無くすように願ったら,あの二人はどうなりますか?)
((存在自体を消す…周りの奴らも,そこで喧嘩していた人がいたことすら忘れる))
そんなことはやり過ぎだ…そして,男は考え,願った
(俺や,周りの人にあと少しの勇気を下さい)
悪魔はそれを聞き,尋ねた
((それは,誰の為だ?))