THE ENDLESS 51
またも声が上がった。
「スヴェルク!」
意外にもスヴェルクの声だった。その目には強い光が灯っている。
「ジークはどうするの?行かないの?」
「うっ…」
桃樹の問いに思わず言葉が詰まる。ジークも決して活躍したくなかったわけではない。真っ直ぐな桃樹の視線はジークに無言で語りかけている。
「…分かったよ。光羽さん俺も行きます!」
ついに折れたジークが光羽に言った。
「お前達3人か…若干というかかなりの不安があるな…」
ジークも桃樹もスヴェルクもレベルはそこそこあるが、まだLOSTでは半人前である。
「よし…ロキ、煌夜お前達もついていってくれ」
「うえっ!?わいと煌夜も?」
ロキが奇声を上げて驚いた。
「そうだ。お前ならレベルも高いし、場数も踏んでいる」
「うぅ…しゃーない!行きます。今の光羽さんは何が出て来るか分からへんから下手に逆らいまへん♪」
ロキの言葉に光羽は苦笑しつつも続けた。
「頼んだぞ。紫の宝玉はあの紫弦が使っていた危険極まりない代物だ…万が一にも他のギルドに奪われるわけにはいかない。皆、頼んだぞ!」
「「「「「はいっ!」」」」」
五人が出て行き、光羽と颯葉が残った。光羽が唐突に口を開く。
「気付いたか?」
「何に…?」
「俺の恐怖に」
「……ああ」
光羽は立ち上がると窓に向かい外を見た。
「明らかに俺は強くなり過ぎた…明日にもはっきりと分かるだろう……颯葉、あの竜、どんな名前にしようか」
「この子の?」
颯葉の手には何時の間にか黒竜の赤ちゃんが乗っていた。親と違い漆の様に美しい黒だ。
「そうだな…漆の様に映えるその体色。つまり漆映…でどうだ?」
「えらくいい名前をつけるな…俺はまだ動けない。今日は颯葉が餌を取ってきてくれ」
「分かった」
颯葉も居なくなり、光羽一人だけが残った。
「俺は自分が怖い…これは一体…」
【半月】
「瑶山が崩壊したか…で、俺のギルドに入れてくれと?何故だ?」
ナガレと話す者が一人。アラビスであった。
「剣姫と闘う機会を狙っての事にございます」
「ふん…奴と闘うのはこの俺だ。奴はケンキはケンキでも剣の鬼と書く剣鬼だ。俺が道を教えてやらねば」