THE ENDLESS 50
「俺の野望の礎になるかもな」
光羽は黒竜の卵を抱き、ボロボロの死骸と腹に大穴の開いた死骸の転がるその場所を後にした。
決戦翌日。Mysticのメンバー(カフカ除く…昨日一時間以上ログインしていたからだと推測されている)は一ヶ所に集められていた。
「これから俺は白の宝玉を装備する」
光羽が宝玉を取り出す。その手に力が籠もり、宝玉が輝きを増す。
「準備完了……」
光羽はそう言うと宝玉から手を離した。だがそれにも関わらず宝玉は宙に静止している。
数瞬の後、宝玉が動き出し、光羽の胸の中心に入り込んだ。
「う…」
宝玉が完全に見えなくなると、光羽はふらつき颯葉にもたれかかった。
「どうした光羽?」
光羽はそのまま倒れた。
「左手が…」
苦しみながらそう言うと、光羽は気を失った。見ると、左腕から新しい手が生えてきていた。
「光羽?」
颯葉が声をかける。反応は無い。ジークはある事に気付いた。
「マスター、気のせいか光羽さん、白くなってませんか?」
確かに元々色白の光羽の肌が更に白くなっている。
「光…?起きろ光!」
「……う」
颯葉が驚いて光羽を揺さぶると、光羽は意識を取り戻し、颯葉の肩を借り立ち上がった。
「輝赫帝…誕生…だ」
光羽は椅子にドサッと座り、疲れた様子でこう言った。
「今日限り俺はマスターに戻る…後、これまで何も言わなかったが…これからは光羽と発音してくれ…」
ジークは桃樹を見た。桃樹は首を傾げた。
「さて…今日は誰かに紫の宝玉があった場所へ向かってもらう…誰がいいか…」
「はいっ!」
桃樹の手がピンッと天を指し示した。
「何手を上げてるんだよ!」
「だって…この間の決戦のとき、ジークも僕も何にも出来なかったから……僕だって少しはギルドの役に立ちたいの」
「それはそうだけど…」
「俺にも行かせて下さい!」