PiPi's World 投稿小説

Gear〜鍵を成す者〜
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 4
 6
の最後へ

Gear〜鍵を成す者〜 6

「くっ…」少女はリオを睨みつけた。
そして口を開いた「私はお前を殺す事を命じられている…しかしそれは無理だろう、私は他の頭の固い輩と違い命は大切にする」
「で?」つっけんどんにリオは返す。
「元々この仕事に興味はない、それに雇い主への義理もない…どうだろう?雇い主の情報等と交換に見逃してはくれぬか?」
リオとテアはお互いを見て頷いた。
「条件は二つ、“誰に”と“何故”だ」リオは丸太に腰かけた。
少女の口が開く「お前たちを殺せと命じたのは、外務大臣のナーガだ、何故だと思う?」
少女の質問にリオたちは首を振る。
少女は話を続ける。
「マーリンが“ディアボロス”を召喚させたのは知っているだろ?それが原因だ、ディアボロスの召喚は黒魔法、我が国ではそれは認められていない、使った者は極刑だ……それに関わったアンタたちも当然……って訳だ」
リオは焚き火の炎を見たまま返事をしない。
「あの戦いの生き残りはアンタたちの他に二人いたが、もうこの世には…」
「名前は!!その二人の名前は!!」リオは立ち上がり大声で叫んだ。
「落ち着くんだ」隣のテアがそれを宥(なだ)める。
「確か名前はシオンと……リヴァイアだったと思う」嫌そうな顔をして少女は答えた。
「トマじゃないのか……」リオは力が抜かれたように丸太に座りこんだ。
「もういいわね?私はもう行くわ」少女は背中を見せた。
リオは素早く彼女に近づき、その背中に手を当てると錬製陣を描く。
バタッ、少女は倒れた。
「ほう…やりますな」赤兎が声を弾ませる。
「近くの村か町でこの娘をおいていこう、錬製で記憶を書き換えたから、僕たちが生きている事はしばらくバレないはずだよ」
焚き火を片付け、少女を赤兎の背中に乗せると、リオたちは森を突き進んだ。

 ――リオたちは宿屋を出た。赤兎の背中には誰も乗っていない。
「宿主にも軽い錬製を使って、あの娘が一人でチェックインした事にした、完璧…」リオは笑う。
「これからどうする?一度“エクセリオン”に戻って、マーリンを助けるのもありだとは思うが」
「あの人なら一人で何とかなるさ、それより“ゴンドラ”が気になる」リオは赤兎に飛び乗った。
「ゴンドラに?この前攻めてきた国だぞ?何でまた」不快な顔をする赤兎。
「もうエクセリオンには帰れない…だったら友好関係にあったはずのゴンドラがどうして攻めてきたのか知りたくないか?それにもしかしたら…」
「……」赤兎は無言で頷いた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す