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Gear〜鍵を成す者〜
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Gear〜鍵を成す者〜 11

その名を聞きシオンの目が見開いた。
「カッツ、ですか……」
マーリンは目を閉じ、小さく何度も頷いた。
「カッツ……」
シオンのエメラルドの瞳に、窓の外の分厚い雲が映っていた。


「シオン?窓の外ばかり見て……どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません……さてどうやって侵入するかですが」
二人は宿にいた。城に聖剣がある事、それは“立入禁止”と書かれた部屋にある事、そして“彼”がそこにいる事……それらをふまえ二人は作戦をたてていた。
「正面から行きます」シオンは真面目な顔をして言う。
「大丈夫なんですか?そんな事して」ベルーナは怪訝そうな顔をした。
「大丈夫です、あとはあなたが持ち帰った“初めの階段を三階まで上った先にある、大きな扉のむこうにそれがある”と言うのが本当であれば完璧です」
シオンの顔に疑いという物はなかった。
「しかし――」
「仮に、その情報が嘘であっても、城の兵に聞けばいいのです、心配いりません」
自信にあふれたシオンの顔を見てベルーナは言った、
「あなたの弟子でよかった」と。
「今日は歩き疲れました、明日の夜、行きますよ?」シオンは微笑んだ。
「はい、“師匠”」ベルーナが微笑み返し、二人は眠りについた。

ウォォォ……
シオンが城を訪れて二回目の夜、城壁の向こうから突然不気味な声が聞こえてきた。城の中は兵士達で騒然となってた。
「どうしたというのだ、いったい」
走り回る兵士達の中で男が言った。
男は白髪頭で、丈が膝まである黒い上着を着ていた。大きな襟が耳までのびて、その横顔を隠している。
「カ、カッツ様……我が国は現在、突然現れた識別不明の軍に囲まれています、申し訳ありません……」

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