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クエストフォースエピソード3約束の地に
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クエストフォースエピソード3約束の地に 10

エミュは声に反応し後を振り向いた。
そこに師匠が立っていた。
「あなたは、ヴィンの従者でしょ。
ここで、混乱していたら、ヴィンが死ぬわ。」
すると、いきなり師匠はヴィンの首筋に剣先を向けた。
「なっ、何をしてるんですか。」
師匠は、エミュを無視した。
「まだ、意識はあるでしょ。ヴィン。私の質問に答えなさい。」
無いはずの右腕を熱く感じながらも、ヴィンは返事した。
「なんで、またやってきた。
あんたは、一度、ここから逃げ出した身よ。」
「強くなるためです。」
ヴィンは間髪入れず言った。
「右腕を盾の代わりにする。
それだけ、覚悟は出来ているようね。」
ヴィンは意識が徐々に遠のいてゆく事を感じた。
「……かく…あな…めん…う…みる…」
師匠が、何を言っているか、全くわからない。
ただ、不意に身体が何かに包まれるような感じになり。
その心地良さに、ただ、身を委ねた。


「起きてください。」
声が聞こえる。この声は
、確か。
「うん…エミュか。」
眠気を紛らわすためヴィンは『右手』で目を擦った。

「…、うぉぉ!!何で治ってんだ!!」
ヴィンは驚きのあまり飛び起きた。その姿を見たエミュは微笑み、ハクはそれを鼻で笑うとそっぽを向いた。
「“師匠”が助けてくれたんです…、ちょっと待っててください、今ホットミルクを持って来ますので」
エミュは照れくさそうな顔をしてキッチンに向かう。ヴィンにはその姿が少し大人になったように見えていた。
「エミュってあんな感じだったっけ…」
「おい、いつまで鼻の下伸ばしてるつもりだ、さっさと出発するぞ!!」
ぼけっとしていたヴィンに師匠が命令した。
「し、師匠!!」
「早く準備をしろ、強く…、なりたいんだろ?」
師匠の問いにヴィンは深く頷いた。師匠の目は昨日の鬼のような目ではなくなっている。師匠は昔の師匠に戻っていた、そう昔の師匠に…

「あれだ、あれを仕留めて来い」
「でもあれって…」
二人は巨大な洞窟にいた。その中心にはフェンリルと呼ばれる巨大な狼がいた。師匠は片手に賞金首の紙を持ち、狼を指差して笑っている。
「斬ってこい」
ヴィンは背中を叩かれると走った。師匠に殺されるか狼と戦うか、考える余地はなかった。
「悪いなフェンリル、お命頂戴する!!」
狼の前まで走ると大きく踏み込み、剣を逆手にして切り上げた。
ヴィンの剣は何故か狼を捉えられない。師匠は言う、「ちっがう!!目で見るな、心の目で見るんだ!!」

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