PiPi's World 投稿小説

クエストフォースエピソード3約束の地に
その他リレー小説 - ファンタジー

の最初へ
 18
 20
の最後へ

クエストフォースエピソード3約束の地に 20

「こんな合金始めて見た、きっと“錬金時代”の遺産だよ、だから僕らじゃ直せない」
「そうか…ヴィン、どうする?」
「どうするたって、折れた剣じゃ戦えない、それに元々盗賊ギルドで酔っ払いに押しつけられた剣だ、捨てていくよ」
「…そうだ“ヴィンさん”!!それで小さな盾なら作れるよ、小手にはめ込むタイプの!!」
クリムが目を輝かせてヴィンを見つめる、イージーの隣りでヴィンは苦笑いをしながらその提案に頷いた。

「なあイージー、ここの人は皆ああなのか?」
クリムが走り去って行くと、ヴィンは溜め息混じりにそう言った。

「“ああ”って?」
「何かこお、興奮してると言うか、何と言うか…」
「パレイオスとの戦いが迫っている、皆それで気持ちが高まっているんだ」
「そ、そうなのか…」
「そうだ、お前に頼みがある」
「何だ?」

─数分後、ヴィンはイージーの副官達と対峙していた。

「副官ディンよ、貴様がアグーダに内通していたのはもう調べがついている、観念するのだな」
「あん?ちょっと待てよ、貴様こそ“ヴィン隊長”の偽者なんか連れて来て、兵の心を乱そうとしているのか?」
槍を握るイージーと短剣を握るヴィン、彼等の構える先には副官ディンと十数人の部下が剣を構えている。

「偽者ではない!!」
イージーが叫んだのと同時に兵士達が襲いかかってきた。イージーは槍の柄で敵を叩き付けるが、ヴィンは敵に押されぎみだ。
「オレらが、戦う相手は人間じゃないだろう!」
ヴィンが吠える。
「お前が人間じゃないから、戦っているんだ!!」
兵士の一人が言った。
「なっ!?何を!!」
ヴィンは、出来る限り相手を瞬時に倒そうとした。
だが、短剣だ。
間合いでは、向こうの方に分がある。
無闇に接近したら取り囲まれる。やはり、短剣は体術の一部に使うものだと痛感する。
おまけに、自分は体術が出来ないに等しい。
「命の賭け時は、こんな所じゃないだろう」
ヴィンは呟く。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジーの他のリレー小説

こちらから小説を探す