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lute centennial
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lute centennial 1

―――剣を
「うっ・・・あっ!」―――剣を持て
「グッ・・・!アッ、アアァァァァ!!!」
彼―――リオウ・スティールドは立ち上がる。
剣を地面に突き立てて、満身創痍の体で・・・立ち上がる。
彼の体には致命傷が七個も在った。
軽傷等、数える事は不可能。
それでも。
それでも、彼は、立ち上がる事を、止めない・・・!
―――誰かが俺を必要としてくれるなら
例え、今が絶望的な状況でも。
―――誰かが俺を想ってくれるなら
例え、体が既に動かなくても。
彼は負けない。
否。
負けるわけには、いかない。
リオウは渾身の力で敵を睨みつける。
敵は異形のモノ。
体躯は紫紺に包まれ、所々から柱や人の死体が飛び出ている。
強大な体躯は十メートル強は在るだろう。
何故生まれたのかは分からないし、知る必要は無い。
だが、ソレが世界に破壊をもたらすなら。
「俺は・・・戦う!」

一条の光も入らない神殿の地下で彼等は対峙する。
「行くぞっ!」
渾身の力を持ってして、リオウは敵の足元に迫った。
速すぎる姿は流星。
その速さを保ったまま、彼は通り抜け様に剣を走らせる。
左右。
挟み込む様な剣は、いとも容易く敵の右足を断絶した。
―――グォォォ!
敵は悲鳴を上げた。
悲鳴を聞きながら・・・離脱。
再び彼等は対峙する。
今しがた彼が斬り付けた右足は、既に再生が始まっていた。
グジュグジュと音を立てて、斬り付けられた場所を血肉が覆う。

―――ゴォォォォ
足を切られた痛みからか、敵が唸る。
右腕を振り上げ、鈍速な一撃がリオウを襲う。
その重さは鉄骨。
様々なモノを取り込んだ腕は、当たるなら死をもたらす。
が、しかし。
彼には遅すぎた。
流星の早さを誇る者にそんな一撃は当たらない。
「ハァァァ!」
気合い一閃。
腕が振り下ろされる数秒の合間に、リオウは何度も足を斬り付ける。

―――ヒュン、フォン、ズバァ!
最早(もはや)数える事すら不可能な早さ。
不可視の剣筋は敵の両足を断絶した。
―――ゴォォォォ!
強烈な唸りとともに敵は地に沈む。
円を描く様に旋回し、リオウは敵の背中に飛び乗った。
「ハァァァァ!」
切り付ける斬撃。
志光の剣は幾条もの軌跡となり、まるで花を描いている様にも見えた。
その悉くが敵の背中を切り付ける。
幾等再生が早かろうと、ソレを上回る速度で切り付けられては何の意味も無い。
彼の剣は傷を必死で塞ごうとする肉を断ち。

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