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lute centennial
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lute centennial 2

そして彼は自分の勝利を確信した。満身創痍の体で彼は高々に拳を掲げ野犬のように吠えた。
ゴボウで敵を薙ぎ倒した勇者として彼は後世まで語り継がれる事になる。
人々は彼を讃えこう呼んだ。
『クッキングパパ』と

ゴボウで幾人もの敵を薙ぎ倒した彼にこそ相応しい通り名だろう。

それから七百年の月日が流れた



煌めく金髪の髪を揺らし、堂々と歩く少年がいた。
その少年は賑やかな港町で一際目立っていた。
珍しい金髪の髪。整った顔立ち。常人よりも頭一つ飛び抜けた背丈。どれを取っても人の目を引くモノだが、彼が注目を浴びたのは、腰にゴボウをぶら下げていたからである。

まるで騎士が腰に剣を刺すように少年はゴボウを携えていた。

「ボウズ。中々変わった武器を持ってるじゃねえか」
商店街通りに寄り掛かった途端に少年は一人の老人に呼び止められた
老人は物珍し気に少年のゴボウを見つめている

「珍しいかい?そりゃ、そうだろう。これ程の業物は滅多に手に入らないぜ」

少年は誇りであるゴボウに目を向け言った。年相応ではない低い声であった。

「そのゴボウがか?」

老人は目を見開き声を絞りだした。

「ゴボウ?何を言ってるんだい?年の取りすぎでボケが回ったんじゃねえか?
これはゴボウじゃねえ。あの三国志の豪傑である関羽が愛用した青龍堰月刀だ」
この少ない会話で老人は確信した。この少年は、バカ、いや人としておかしいと。

「関羽の愛用した愛用か?そりゃぁ立派なもんだ」

とりあえず下手に関わるのは厄介なので軽く流しておいた。

「この名刀を扱えるのは世界広しといえど俺だけだぜ。」

(そりゃあ、ゴボウをぶら下げているのは、お前だけだからのう)

老人は心のなかで笑いながらも顔には出さずに少年と話を合わせた。

少年が老人との会話に華を咲かせていると、商店街の一角で人の叫び声と罵声が響いた。

「何事だい?」

少年は不思議そうに老人に尋ねた。

「あぁ。悪来3兄弟さ。いつも商店街を荒らしに来る山賊崩れのヤツらさ」

「あいつら強いのかい?」

「この町じゃ一番強い」

「なるほど」

少年は老人との話を終えると騒ぎの中心に向かい足を進めた。

「止めておけ!  あいつらは本当に強いぞ。下手すりゃ殺される」

「大丈夫さ。俺はもっと強いから」

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