ダークヒーロー 10
分厚いシェルターの入口、その上に俺と“5人の仲間”は立っていた。俺達の視線の先にはピアスの男が一人だけ立っている。
「ようこそ、“ヘブンズドア”へ、あなた方はこのシェルターの中、見た事、ないでしょう?案内して差し上げます」
仲間たちはうるさくわめくが、俺が男についていくと、仲間たちも黙ってついてきた。
シェルターは“禁断の世界”一般人は絶対入る事が許されない場所だ、俺は興味津々だった。
巨大なエレベーターに乗り、俺達は下へ下へと降りて行く。そして止まった。
綺麗な草木、水、美しい景色が広がり全てにおいて優雅な世界、それが扉のむこうに広がっている。
はずだった……
期待は見事に裏切られた、“地下の世界”は腐りきっていた。人の死体が辺りに散らばり、崩れゆく廃墟がならんでいた。
外の世界と何ら変わりのない世界がそこにはあった…
「大統領は…」
「とっくの昔に死んだ、“地下”の戦争でな」
「地上からいなくなった大富豪たちがシェルターに行ったんじゃないのか?」
「老人たちが金を用意しろとうるさくてね…、その為に死んでもらったまでさ」
ジェリーとスパイダーの質問に、ピアスの男は適確に答えた。そして…
「“妹”はまだ若い、助けてやってくれ、じゃあな」
男はこめかみに銃を当て、自ら命を断った。コイツの妹の話なんて聞いていない、だが俺は呟いた。
「任せておけ…」
俺は転がる死体に黙祷した。