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ランドランド〜キラの旅立ち〜
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ランドランド〜キラの旅立ち〜 6

 クラレイは、正確にキラの次の言葉を先取ってみせた。
「どうなれば解決なんだ? 親父さんの後継にふさわしいと認められることか? そいつは、さっきのあんたの言葉と矛盾してると思うけど」
 キラは首を横に振った。
 彼はまだ、その問いに答えを出していない。 
「お前はどうなんだよ、クラレイ。さっきの、サボったのが同じ理由ってどういう意味だ」
 あからさまに話題を変えたキラに、クラレイは苦笑した。
「ガラタクル卿が右足を失った戦いは、俺の父が引き金になって起こったそうだ」
「え?」
 キラは思わず聞き返した。
 クラレイは少し躊躇を見せた。だが結局、声を低くしてこう続ける。
「……真相はわからない。卿が語らないからだ。父が関わっていたという証拠もない。だから、父の正式な罪状の中にそんな記述はない」
 彼の口調は、どこか、自分に言い聞かせているようだった。  
「だが噂ではそうなっていて、アカデミーは俺と彼を引き合わせることを危惧している」
 彼は、ため息を一つついてキラを見た。
「俺は今日、本当はサボる気なかったんだ。久々に真面目に講義受ける気でいたのによ。校長直々にサボるようにお願いされちまった」
 キラは息を飲んだ。
「そんな、」
「そういうことも起こりうるんだよな。今までは遠巻きに警戒されてるだけだったから、ま、ちょっとはショックだったけど」
「ちょっとどころじゃねえだろ、そんなこと…抗議したっていいくらいだ」
「しても意味ないって。それに、それが事実ならアカデミーの判断はどう考えても正しいだろ。別にいいんだ。残念なのは卿に会えないことだ。出待ちして、ちょっと話してみたかったんだよな。父のこと…本当のこと、さ」
 彼は肩をすくめた。
「まあ、今思えばどう訊くんだって話だけどな。親父のせいで足をなくしたんですかってわけにもいかないし」
 それからふと、彼は何かに気づいたようにキラにこう言った。
「あんたの父上はどうかな。知ってると思うかい」
 そう訊ねたクラレイを、なぜかキラは痛ましいと感じた。
「お前、真相が知りたいのか」
「知りたいね」
 クラレイはキラから目をそらした。
 そして、どこか遠くを見る眼差しをした。遠くを、決然と睨みつける表情を。
「父が何をしたのか、全部知りたい。でなけりゃ俺は、納得できない。俺が今受けてる扱いを、理不尽だとしか感じられない」
 静かな、しかし激しい口調でそう言って、彼は一旦言葉を切った。
 それから、数秒間沈黙した。言葉を探しているようだった。
 続ける気がないのかと、キラが思いかけたとき、彼はようやく口を開いた。
 
「あきらめたいんだよな」

 キラははっと顔を上げた。
 クラレイは笑っていた。

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