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ランドランド〜キラの旅立ち〜
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ランドランド〜キラの旅立ち〜 32

「資料の、ふさわしいとは考えられぬところに、外務官ファンタン・レジャンの名が出てきたから」
 アイアダルには迷う様子もなかった。
「『ふさわしいとは考えられぬところ』?
いったい、どういう…」
「そもそも、戦争の始まったとき、ガラタクル卿、ジークランド卿とともに、ファンタン・レジャンもそこに――シノム‐パドーラ戦線にいたのです」
 と、眼を半眼にしたアイアダルは、一から説明をはじめた。

 シノム、また、パドーラというのは国の東部――これはまあ、東方大戦の戦場となったくらいだから当然として、ホムラの国とタルバタナ国との国境たる、城塞の築かれた地だった。地形もまた、天然自然の要害となっていて、外から攻めてもたやすく陥せる場所ではないはずだった。
 が、いまアイアダルは「戦争が始まったとき」といったが、戦争そのものが、そこから……シノム‐パドーラ城塞が、そこと国境を接するタルバタナ国の奇襲で陥されたことから始まったのである。あまりに予想外の奇襲であったためか――ほとんど抵抗の間もなく、シノム、パドーラの地はあいついで、ともにタルバタナの軍勢およそ五千に占領されたのだった。
 タルバタナ軍は、シノム城塞、パドーラ城塞を拠点に、さらにホムラ国内に侵攻しようとしたが、そこでガラタクル卿率いる一万の援軍がかけつけた。
 援軍といっても、援けるべきシノムとパドーラの城塞はすでに落ちているから、彼がやったのは、落ち延びてきた城塞の守備兵たちの回収と、それ以上タルバタナ軍が進めぬように、最大の防御――つまりタルバタナ軍の占領しているシノム、パドーラ両城塞に攻撃を開始することだった。

「ジークランド卿は当時も外務卿でしたから、そこで小競り合いが落ち着いたら交渉を行うためにともにかけつけたのです。そして、彼が連れていた外務官数人のうち一人が、ファンタン・レジャンでした」
 アイアダルは説明して、くすりと笑った。

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