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ランドランド〜キラの旅立ち〜
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ランドランド〜キラの旅立ち〜 30

「……そこで、もし、どんな形であれくいさがったら、なんだか、わたしがすごくこの件にこだわっているみたいなので」
「こだわっていないの?」
「まさか」
 クラレイは、また少し考えて、
「ああ……そうです――こだわっていることを知られたくなかった、というのが正確ですね」
「知られて、不都合があるのですか」
「なんだか、すべてご存知のうえでそう尋ねておられる気がしなくもないのですが――」
 聞こえるか聞こえないか、微妙な声でクラレイは言ったが、アイアダルの反応がえられないとわかると、続けた。
「誰が、っていうのは分かりませんが、誰かが、わたしに何かを隠してる……それだけは、分かってますからね。たぶん、それが父に関することだというのも。わたしは、それを知りたい」
 いきなり同じことを言っても、さっぱり意味はとれなかっただろうが――この場合だから、アイアダルにもキラにも、伝わった。
「知りたいからこそ……」
 と、クラレイは続ける。
「わたしに何かを隠そうとしている誰かに、わたしがその何かを知りたがっていることを知られたくないんです」
「そうしたら、油断した相手が、うっかり手掛かりをみせることがあるかもしれない……そう、考えたのかしら」
 アイアダルはうなづいた。
「たしかに、そうかもしれないけれど、ずいぶんと気の長い話ね」
「わたしも、そう思います。……しかし実際には、わたしは決して気が長いわけではなくて、それでけっこう焦れていたところもあったんだと思います。ガラタクル卿の授業がうけられなくなった日、ついキラに話して――結局、こういうことになりました」
「ガラタクル卿が、俺に会いに来るといっていたので、こいつを誘ったんです」
 これは、キラだ。
「ガラタクル卿のほうは、クラレイも一緒だと知っているのかしら」
「だと、思います。父には、了解をえていますし、二人はよく話すようですし」
 おかげで、いらないことに関してまでやたら早く情報が伝わるからたまらない……と思いながらキラは答えたが、クラレイのことがガラタクル卿にも伝わっているだろうと考えた理由は、もうひとつあった。
 父がそのとき見せたただならぬ様子と、『あいつも…私も、来たるべき日が来たということだ』という言葉……クラレイのことをガラタクル卿に告げぬはずがない。
 ただ、キラはそれを「今」話すつもりはなく、それに、話すまでもなく、アイアダルも納得した様子であった。そして、
「――で?」
 と、彼女は首をかしげた。
「――で、とは……?」
「それで、あなたはどうするつもりなのかと思って。これから、ガラタクル卿に会って、何をどう切りだすつもりなの?」
「ええと、それは……」
 クラレイは頭をかかえてしまった。
「たぶん……わたくしたちが訊きたいことは共通していると思うの」
 そうアイアダルはいった。
「そしてわたくしも、同じことで悩んでいる」

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