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ランドランド〜キラの旅立ち〜
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ランドランド〜キラの旅立ち〜 29

(いや、親父と姫、じゃなかった王姉殿下が、必ずしも同じ理由でクラレイとアリエルが会うのを特別に考えてるとは限らないけど、な)
 キラがそんなことを考えている間、クラレイは別のことを思っていたらしい。彼はしばしの沈黙ののち、こう訊いたのだ。
「では、殿下は、わたしがガラタクル卿と会うことを、忌むべきであるとは思っておられぬのですね?」
「え?」
 珍しく、アイアダルが驚きの表情をみせた。
「忌むも、なにも……わたくしは、そこまで個人のことに干渉はしません」
 キラははっとした。
 以前にも、クラレイとアリエルが会う機会はあるにはあった。例の、アリエルがアカデミーの特別講義を行ったときだ。
 だがそのときには、機会が意図的に取り上げられた。
「……あー、ええと、おまえ何て言ってたっけ? アリエルの授業があった日。たしか、あの日に限ってはおまえはサボりのつもりじゃなかったのに、『頼まれた』って話だったよな?」
 記憶をたどりながら、クラレイに訊くと、アイアダルのほうが早く反応した。
「どういうことです?」
「ええと、ちょっと前、ガラタクル卿の特別講義があったんです」
「それを、あなたたちが受けるはずだった?」
「はい」
「実際にはまだガラタクル卿との対面はなっていないのだから、クラレイはその授業を受けなかったのね?」
「そうです」
 受けていないのはクラレイだけでなくキラもなのだが、そこは訊かれてないのをいいことに、キラは何も言わずにすましてしまった。
「頼まれた、というのは?」
 また、アイアダルが訊き、今度はクラレイ自身が答えた。
「わたしは、いつもはサボリ魔なんですけどね……なんでアカデミー退学にならないのか不思議なくらい」
 アイアダルは首をかしげたものの、何も言わなかった。
「その日は、行くつもりだったんです。まあ、目当てはガラタクル卿に会うことで――会って、質問ができたかどうかは、わかりませんが」
 キラにも言ったとおりのことを、クラレイは口にして、
「でも、結局は授業にさえ出られませんでしたよ――休むよう言われたんです。校長先生じきじきに」
「そんなことが」
 ひと息の間、アイアダルは絶句して、それから、きっとなって尋ねた。
「理由を訊いたの?」
「いえ……」
「なぜ? 当然の権利を奪われたのよ」
 クラレイは苦笑した。
「まあ、校長先生にはさんざんお世話になっているので。さっき、退学にならないのが不思議なくらいだって言いましたけど、それも校長先生が何とかしてくれてるみたいですから」
「それでも、理由くらい尋ねるのが普通でしょう」
「………」
 クラレイは眉をよせ、なにか考える表情になってから、渋々といったふうに答えた。
「変に思われるかもしれません――が、そうはしたくなかったんです」
「変だとは、思いませんよ。理由を聞かせてくださる?」

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