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最果ての城
その他リレー小説 - ファンタジー

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最果ての城 2

「整列!」
ザッザッ
凛と澄んだ女の声が辺りに響くと、男達は一斉に列を整えた。
「番号!」
「1!」「2!」「3!」・・・
慣れた様子で男達は次々に声を張り上げる。「よし、では先ず基地を三十五周!始め!」男達は即座に回れ右をし、その場から離れた。
「いやぁ〜やっぱマラナ隊長はかっこいいな」一人の男が呟いた。「だよな!あの若さで、女がてら一つの部隊を指揮してんだ。相当の能力がなきゃ・・・」すると別の男が低い声で言った。
「あの能力があるんだ。当たり前なんじゃねーの?」
すると辺りは静まり返り、聞こえるのは規則正しい足音のみとなった。
あの日、私は『生きる』ためにツナの血を飲んだ
だがそのためか私には特殊な能力が身についた
『死なない』のだ、あの後落とされた『核』に対してもその傷はたちどころに治ってしまった
そのためどんなに過酷な任務もこなすことが出来た
そして今はそれらの功績が称えられ部隊長にまでなることができた
しかし、それは同時に『人』では無くなってしまったのではないか、という不安の上に成り立っている
それを聞こうとしてもツナとは『核』が落とされた時にはぐれてしまっている
「生きることも死ぬことも旅…か」
私の呟きは答える者も無く、虚しく空に溶けた。
「一体今どこにいるの・・・ツナ」

我が国ヴァラキアと隣国シェザールの間では、依然として植民地を巡る戦が続いていた。私が『永遠の旅』をする切っ掛けとなった戦争だ。私のように人間でなくなった人間を、新たな犠牲者を、少しでも出さない為に私は戦い続ける。その為には、この能力を使うことも厭わないだろう。「父さん・・・母さん・・・」私は再び、旅を続けようと立ち上がった。

「ギルバート大佐、失礼します!」
「おお・・・マラナか。入れ」

「…そうか、『魔狼』を探す旅に…」
「はい」
上官であるギルバートをまっすぐ見つめる
根負けしたのか少し表情を崩すと椅子に腰掛けた
「決心は変わらないようだな」
「はい」
しばらく目を閉じると口を開いた
「実はな隣国シェザールも魔狼の血について調べているという情報が入ってきている。シェザールより先に魔狼を探すという名目で旅に出る形を取ってもらいたい」
「それでは…」
「あぁ、旅にでる事を許す」
「ありがとうございます!!大佐」
「ただし、ムリはするなよ、長引いた戦争の影響で最近は賊も増えている」
そう言うとマラナにチップを渡した
「これは…?」
「『魔狼』がいたとされる遺跡の場所をピックアップしたチップだ、役立ててくれ」
「大佐…」
「無事に帰って来い!!これは上官命令だ!!」
「はい!!」
「よし、いい返事だ」
大佐の笑顔に見送られ基地を出た

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