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もう一人のわたし
その他リレー小説 - 二次創作

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もう一人のわたし 1

わたしは広野まりあ、14歳。フツーの中学生。ある日、わたしは妊娠した。
普通の中学生が妊娠するのか?? 男性経験は断じてない。さらにッ、つきあっている相手すらいない。
しかしまあ、周りの大人達の騒ぎ方のえぐいこと。病院で検査した結果、やっぱわたしってば、めでたく処女。
名前も"まりあ"だし、これが本当の処女受胎。先生方には疑われるし、もうさんざんだよ!

だけど、わたしみたいな例は35億人に一人…? だっけ? えーい、単位なんか忘れた。そんな確率であり得るらしい。
さすがにちょっとコワイ。これは自分が自分を妊娠しているとも言えるらしい。 
なんかいろいろエライ先生らしき人とお母さんが言い争っている。
「娘はまだ14歳なんですよ。」
お母さんが叫ぶ。
「本当に珍しいケースなんですよ。娘さんの命の保証は私がします。世界には十億払ってでも、自分のクローンを欲しがる人間がいるんですよ。」
偉い先生が宥めるように言う。別に、そんなお金持ちが、何を考えていようと知ったことじゃ無い。
「"まりあ"は赤ちゃんを育てられるの?ママゴトや、お人形さん遊びとは違うのよ。」
お母さんが、わたしを問い詰めた。   
「そんなの、やってみなくちゃ分からないよ。」
それ以外に何て答えればいいのかだって、わからない。
「自分一人でなんて、出来るわけないでしょ?どうせ、お母さんに泣きつくくせに。まりあがポチを拾って来た時だって、結局、面倒見たのはお母さんじゃない。」」
お母さんが、たたみ込むように言う。一体、何年前まで、話を遡らせるつもりなんだろ?
「だって、ここにいるのは、『わたし』なんだよ?」
自分のお腹を指差しながら、わたしは叫んだ。自分を殺すなんてできない。生むの生まないのなんて話をしても、無駄なのに。
「……ってゆーか、お母さんは、なんで、わたしを殺せ…なんて言えるの?」
逆にわたしは聞いてみた。お母さんは黙ってしまった。だけど、それはそれで都合が悪い。エラーイ先生が不気味な笑いをわたしに向けながら迫って来る。
わたしは実験の為にわたしを生むんじゃ無い!
……とは言ったものの、わたしをもうひとり生んで、どうする…?もしも、わたしよりもできのいい子に育っちゃったら、
お父さんもお母さんも、わたしを要らなくなっちゃう?どうしよう。今までサボってたからなー。
わたしがもう一人いたりしたら、ばればれじゃん。
ちょっとは困ったけれど、わたしはわたしを生むことにした。
担任の瑶子先生が、
「考え直せるのは、あと2週間だけだから、よーく自分でかんがえなさい。
 やめようと思っても、それより後になったら、生むしかなくなっちゃうんだからね。」
って心配そうに言ってくれた。法律のこととかよくわからないけど、
そんな決まりなのだけはわかった。教頭先生が
「産休の届出って―――。」
って頭を抱えるみたいにして帰って行った。さんきゅうって…なに?
わからない事だらけで、わたしは不安になってきた。

2週間なんて、すぐだった。わたしは吐き気がひどくて、
ゆっくりなんて全然考えてる暇なんて無かった。ついでに言うなら、出産予定日は半年後に迫ってた。
他の生徒への影響を考えてとか言って、わたしは学校を休んでいいことになった。
「学校に来なくても良いとは言っても、妊娠は病気じゃないんだからね。しっかり勉強しときなさいね。普通の病欠なら、授業のノートをお友達に届けてもらうけど、
今回は長い期間になるのが分かってるから、それはしません。今から出産・育児まで休むことを考えると、休学扱いだと思うけど、来年もう一回同じ学年をやることになっても、
勉強をしっかりしておけば、来年はきっと学年トップになれるわ。」
と瑶子先生は、わたしが学校に最後に行った日、あっけらかんと言ってたっけ。
ノートを届けないことになったのだって、他の生徒に影響があるから、ってことよね。
わかってるけど、じゃ、みんなわたしに会いに行っちゃいけないとか言われたのかな…だって…本当に誰も来ない…。

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