機動戦士ガンダムSEED DESTINY ANOTHER 2
もっとも生まれたのはプラントじゃない。
地球の太平洋に浮かぶ小さな島国であるオーブ連合首長国で生まれた。
俺がこの国に来たのは十四歳の時。
当時遺伝子操作によって産み出されたコーディネーターと、遺伝子操作を受けることなく自然なまま生まれてきた人々通称ナチュラルは、様々な点でいがみ合っており、遂にC.E.70年プラントの農業用スペースコロニーであるユニウス・セブンが核で破壊され、大西洋連邦を中心とする地球連合とプラントは戦争状態に突入していた。
もっとも当時の俺にとって、戦争は遠い何所かで起きている、テレビの向こうの出来事に過ぎなかった。オーブのスペースコロニーであるヘリオポリスが崩壊したり、オーブの近海で戦闘が起きたりしたのは知っていたけど、当時の俺は自分たちが戦争に巻き込まれるなんて、考えた事も無かったんだ。
でも戦争は俺たちを放っておいてはくれなかった。
プラントの攻撃で地球から宇宙へと上がるためのマスドライバーを失った地球軍は、オーブのオノゴロ島に在るマスドライバーを手に入れるためオーブに対し、侵略を行った。
その結果起こった地球軍とオーブ軍の戦争に巻き込まれ、俺は両親と妹を失った。
「ねえねえ、結婚式のプランこれなんてどう?」
「いや・・・いくらなんでも高すぎるだろ!だいたい呼ぶのはヨウランとかヴィーノとかだろ」
「ミネルバのクルーや軍学校のクラスメイトには、だいたい招待状出したかな・・・懐かしいな・・・もうあれから六年も過ぎたんだね・・・」
ただ一人生き残った俺は、助けてくれた軍人さんの勧めで、プラントへと亡命した。
コーディネーターである俺にとっては、他の国より住みよいだろうという判断だ。
プラントに亡命した俺は、戦後プラントの国軍であるザフトに志願し、軍学校に入隊した。
家族を戦争で失った当時の俺は、とにかく力が欲しかった。
もちろん家族を殺した地球軍の奴らに復讐してやりたいという思いもあったし。
何より俺は、もう二度と戦争で大切なものを失いたくは無かったのだ。