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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 61

「ぐふっ…」
「なんで、何で力をぬいた!!」
「これでいいんだ、これで…」
ランキヌは両腕をひろげ、立っていた。エイクの剣を握る手から力がぬける。
「これが私の望みだ…、さぁトドメをさしてくれ、エイク、エルトリオの子よ!!」
「…ふざけるな!!死んで逃げるつもりか…、そんなの許さない!!生き続けろ、そして…、一生をかけて償え!!」
ランキヌは、ふと口元を緩めた。目前に居るエイクの瞳と、その父のそれとが重なる。
「……私は、長く生きすぎた」
そう呟くと、広げていた両手でエイクの剣を掴んだ。眩しそうに空を仰ぐ。すでに、ドラゴンらの気配は消え失せ、空は青く澄み渡っていた。
「もう、いいだろう?エルトリオ」
ぐっ、と剣を押し込み、そのまま地面に倒れ込んだ。
「そ……んな」
エイクは、弱々しく波打つ剣の柄から手を放せずにいた。
次第にランキヌの姿が薄くなり、金色の粒子となって消えていく。かたん、と切っ先が地面に落ちた。
それを見たグルーノは深く息をついた。
「竜王にさえ会っていなければこやつも……」
ザフィスが小さく唸った。
皆黙って、少しの間重い空気が流れた。
「おいエイク、これ…」
そんな中、ククールが沈黙をとく。彼は先ほどまでランキヌがいた所にしゃがみこんだ。
「エイク、ランキヌの“置手紙”だぜ」
ククールの白い手袋からエイクのもとへ、手紙が飛んでいく。
「ランキヌからの手紙…」
エイクは眉をひそめ、折りたたまれた白い紙を開いた。


──エイク、すまない…。何もいわずにこれを受け取ってくれ、きっと役にたつはずだ、幸運を祈る…

カチャッ

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