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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 33

「竜人族の女性を探すために旅にでたのは、私と町で雇った戦士、そして…サザンビーグの王子だ」
「なるほど、その王子がこの本を持っていた訳だ…でも何でそんな物がミーティアの部屋に?」
ククールは難しい顔をして試練の書の白いページをパラパラと捲る。
「拐った者が落としていった、またはわざと置いていったのかもしれぬ、いずれにせよ推測にすぎんがな……すまぬがまた明日来てくれぬか?今日は商人との取引で疲れているのだ、宿はとってあるので使ってくれ」
エイクはザフィスの触れてはいけない物に触れてしまった気がした。
「それは気づかずに申し訳ない、それではまた明日伺います、失礼しました」
ヤンガスが他の3人をまとめ、ザフィスの部屋から速やかに退出した。
「ふぅ、とりあえず今日の所は宿に行きま…ゴホンッ、行くでがす」
ククールとゼシカの腕をつかむと、ヤンガスは走り出した。
「ヤンガスまっ…」
ヤンガスはエイクに構わず走り去ってしまった。
「エイク君…君に話がある」
エイクが振り向くと、ひどく深刻な表情のザフィスがいた。少々不審には思ったが、エイクは構わず腰掛けた。
しばらく沈黙が続き、ザフィスが細く息を吐いてから話し出した。
「先ほど話した王子だが…、あの御方は失踪した竜人族の女性と深く愛し合っていた。」
机の上に組まれた無骨な手に力が入る。
「王子の名は、エルトリオ。」
「!?」
エイクの脳裏に、漆黒の騎士の言葉が甦る。
『エルトリオの子』
確かに、あの騎士はそう言った。
「女性は、ウィニアといった。」
「何故その事を僕に…」
ザフィスは拳をつくり親指だけをのばすと、その手をそのままエイクの顔に向けた。
「私とエルトリオは子供の頃からの友であった…君とエルトリオはじつに似ている、境遇だけではなく姿もだ…」
「僕とエルトリオが?」
「そう、似ている…だからではないが君の力になりたいのだ、これをトロンデーンへ戻りミーティアの部屋で使ってみたまえ、魔法陣の中にいた者だけその場所の過去の風景を見る事ができる、見る事しかできんが何か手掛りが見つかるやもしれん」
ザフィスは『砂時計』をエイクの掌にのせる。
その砂は一つひとつが煌めいて、まるで生きているように瞬いていた。
「きれいだ……」
吸い込まれるように見つめるエイクを見て、ザフィスは口元に笑みを浮かべた。
「やはり似ているな…」
「え?」
エイクが砂時計から目を離さずに聞き返す。
「なんでもないさ。さあ、行け」

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