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ドラゴンクエスト[〜それから〜
その他リレー小説 - 二次創作

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ドラゴンクエスト[〜それから〜 29

「……だから、この程度だと言ったのだ。」
兜に覆われた顔に、ギラリと赤く光る双眼。それを見た瞬間、ヤンガスは微動だにできなくなってしまった。
「な……にっ!?」
音も無く、暗い紫の剣がヤンガスの喉元に宛われた。
「死ね。」
――……ザシュッ!!

「お前か。」
漆黒の鎧に同じ紫色の剣が突き刺さる。しかし、血が流れていない。
「俺はアンタと会った覚えは無いけど?」
少し早口にエイクが答えた。
「今、お前と手を合わせるのは少々具合が悪いな……。」
騎士はもう片方の手で、自らの腕に刺さる剣を掴んだ。
「!」
エイクが両手に力を込めたが、たやすく抜き去られてしまった。そして騎士はマントを翻し、こちらに背を向けた。
「時が来たら会おう。エルトリオの子よ…。」
途端に周囲は霧のようなものに覆われ、騎士の姿はかき消えた。
「ヤンガス、怪我は?」
回復魔法を唱えようとしたエイクにヤンガスは首を横に振った。
「大丈夫でがす!」
「……にしても、確かに手応えはあったんだけどなあ。」
ヤンガスは立ち上がると握手を求める。
「助かったありがとう、良ければ名前を教えてくれないか?」
エイクにはヤンガスが何を言っているのか分からなかったが、彼は笑顔で答える。
「名前はエイク、君の友達さ」
ヤンガスの手を握り、見つめる。
「あ、あんたがエイク…」
ヤンガスの手が震え出した。
「ど、どうしたの?」
エイクは眉を八の字にして困惑している。ヤンガスは俯いたままだ。
「おーー……い!」
背後から二人を呼ぶ声がした。ククール達だ。
「ごめーん!変なトコに飛ばしちゃった。」
ツインテールをぴょこぴょこ揺らしながら、ゼシカが走り寄ってくる。
「二人とも大丈……」
「ヤンガス!!」
ククールの言葉を遮ってゲルダが飛び出した。その後ろで彼はヒュゥと口笛を吹いた。
ヤンガスの胸に飛込むゲルダ。
「もう!!心配したんだから…」
「すまない…」
ヤンガスはゲルダの肩を掴み、寂しそうな目で見つめる。
「ゲルダ、兄貴を見つけた…そろそろ旅に戻るよ…」
「…うん、いってらっしゃい、パルミドの事は任せて」

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