PiPi's World 投稿小説

GENIUS
その他リレー小説 - その他

の最初へ
 7
 9
の最後へ

GENIUS 9

佐倉翼は『異常天才』と見なされ、『A』の牢獄に入れられた。
死神ちゃんのおかげで3日後に奇跡的な復活した佐倉翼は目覚めた瞬間に狂ったらしい。
彼の病室へ異常が無いか調べに行った女性の看護師が戻って来ないことに疑問を感じた同僚の看護師が彼の部屋へと向かった。
するとそこにはいつものようにベッドで安らかに寝ている佐倉翼がいたらしい。
そして、血の海の中心にまるで獣に食べられたかのように、原型をとどめていなかった何かがあった。
その異常性から病院は『異常天才』と判断、『あいうえお』へと入獄したらしい。
「さてと…じゃあ新入りを確認させてもらうわね?」
神子さんと一緒に『A』の牢獄へと向かう。
その鉄格子の向こうには、病室で見た彼とはまったく違う…何かに飢えているような顔をした彼がいた。
「誰ダ…?」
「はぁい♪なるほどね…うんうん。『異常天才』に間違いないね君♪」
「五月蠅イ…オ前…女ダヨナ?犯ラセロ!犯ラセロォォォッ!!」
鉄格子が見えてないかのようにガシャンとぶつかり手を伸ばしてくるが、神子さんには届かない。
「残念…私の体は無色くんのものだから♪」
「いや…犯罪ですから」
「オ前ハ男…喰ワセロッ!」
いきなり手が伸びてきて、驚く。
今、何と言った……?
「危ないわよ、無色くん。彼は誰でも襲うわよ」
「彼は何の『天才』ですか……?」
「もちろん『欲求の天才』になったわ」
人間には三大欲求というものがある。
食欲、睡眠欲、性欲。
今の彼は、その欲求が全てになっている。
食べれるものがあれば食べる。
寝れる時があれば寝る。
ヤれる奴がいたらヤる。
その欲求に実に忠実に生きているのだ。
「まったく…今回ばかりはちょっと失敗ね」
「失敗ですか?」
「えぇ…何も考えないで死神ちゃんに頼んだのがダメだったわね。無色くんは私に監禁されて一週間くらいご飯食べさせてもらえなくて、やっとご飯が出てきたらどうする?」
「例えが怖いです。まぁ…それは食べます…けど……あ…そういうことですか」
「そういうこと。『無欲』時代が1年、しかし目覚めた彼は『欲求』。1年間溜まった欲求が弾けてる状態よ、今は」
きっと殺された看護師は、犯されてから食べられた。
彼にとっては格好の獲物だったはずだ。
看護師はいつもどおり目を覚まさない彼の病室に来る。
病室に異常は無いか確認し、目を覚まさない彼を確認する。
あぁ…今日も彼は眠っている…、と思ったはずだ。
しかし、そう安心した瞬間に彼の毒牙が彼女に伸びた。
リハビリ?筋肉の衰え?そんなのは彼の『欲求』にとっては大した障害じゃない。
精神が肉体を凌駕する。
「オラ…早ク…ヤラセロヨォォォ…!!!!」
「まったく五月蠅いわね…無理したのか知らないけど体中ボロボロなのに。さようなら……君とはもう一生会わないわ」
そう言うと神子さんは踵を返す。
『A』から離れ、恋さんのところに向かう。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す